2月末の水曜日の話である。
ずいぶん前から取り組んでいた面倒な仕事がようやく片付き、ホッとしたものの、もうストレスはMAX状態。
息抜きを兼ねて、どこかの温泉でゆっくりとしたくなった。冬のまったり旅といえば、やっぱり湯快リゾートもしくは大江戸温泉あたりへ往復送迎バスで訪ねるプランがまず思いつく。一方、週末には3月となっており、青春18きっぷを片手にローカル線を旅するのも悪くない。
ネットで色々と調べてみるが、湯快リゾートは軒並み満室。大江戸温泉レオマの森が空いていたので、18きっぷで訪れることも考えたが、香川は幾度も訪れており、いまいちしっくりこない。
旅のプランを立てているときに、「なんだかいまいちだなぁ〜」と思う時と、「これだっ!」と思うプランが出来上がる時がある。そんなところで、ふと思いついたように、「関西汽船」で検索してみた。
以前から気になっていた、関西汽船の「弾丸フェリー」だ。現地に朝着夕方発の宿泊なしのトンボ帰りという条件はあるが、大阪〜大分(別府)のツーリスト(旧2等)往復で10000円と格安のプラン。
空席照会をしてみると、週末土曜夜の大阪→別府、日曜夜の別府→大阪に空きがあるようだ。雑魚寝のツーリストという手もあったが、もう若くはない・・・。そんなわけで、ちょっと贅沢(?)に、ツーリストベッド(2等寝台)で予約する。ちなみに、アップグレード料金は往復2000円なので、合計で往復12000円となる。これでも格安だ。
ところで、予約時にホームページを見ていて気づいたのだが、関西汽船は既に過去の会社となってしまったようだ。同じ系列のダイアモンドフェリーと共同ブランドとして「フェリーさんふらわあ」を立ち上げたのは知っていたが、関西汽船という社名は残っていると思っていた。
しかし、現在では「株式会社フェリーさんふらわあ」という、そのまんまの社名に変わってしまったようだ。なんとも時代を感じる・・・。
さて、ここ最近テレビCMや新聞広告でアピールをしまくっている、フェリーさんふらわあの「弾丸フェリーたび」。しかし、実は、こんな弾丸フェリープランは、以前から商品としては存在していた。
ちょうど奥さんと付き合い始めた頃だろうか?
JTB(もしくは系列の会社だったと思う)がローソンのロッピーを活用して販売していた。奥さんと付き合った当初、マリンエクスプレス(現・宮崎カーフェリー)でいく宮崎シーガイアのプラン、関西汽船でいく別府温泉のプランで利用した。いずれも9000円台から1万円少しの格安料金だったと記憶している。
行き先が別府に決定したものの、現地での約12時間の過ごし方は決めていない。
湯布院という選択肢があるが、『西日本パスで行く由布院・関門・黒部トロッコ旅行記』で訪問済み。別府温泉を楽しむという選択肢も、つい1年前の『SUNQパスで行く北部九州バス旅行記』で訪問済みだ。
色々と考えた挙句、フェリーさんふらわあのホームページにあったリンクでいいプランを発見。
日豊観光バスが運行する「おおいた観光周遊バスツアー」だ。
金土日に運行されており、曜日ごとにコースが異なる。今回は日曜日なので、Cコース「姫島七不思議めぐりと懐かしき昭和の町」だ。姫島と豊後高田を訪れるバスツアーのようだが、どちらも訪れたことがないばかりか、はじめて耳にする地名だ。おまけに、バス料金は4000円となかなかお手軽。さらにうれしいことに、さんふらわあ利用者は1000円引きの3000円。
そんなわけで、木曜夜にフェリーを予約、そして、金曜朝にバスツアーの予約、そして、土曜日の旅行当日を迎えた。
ようやく一段落した仕事を片付けた疲れのせいか、出発当日の土曜の朝はゆっくりと起床。
往路のフェリーの出航は、南港ATC発19:55。なので、夕方に家を出発すれば、十分に間に合うのだが、少し早めの14時に家を出発。
そして、向かう先は「阪急百貨店うめだ本店」で絶賛開催中の「春の九州物産大会」。これから九州へ向かうのに、わざわざ物産展へ行って、グルメを楽しむというのが目的ではない。実は、その物産展のイベントとして開催された「城南海 奄美コンサート」だ
城南海(きずきみなみ)さんは、23歳の奄美出身の歌手。そもそも彼女を知ったきっかけは、2008年の暮れに訪れたハウステンボスのカウントダウン旅行だった。大晦日の前日、カウントダウンに向けたリハーサルが行われていて、姿が見えないものの、すごくキレイな歌声が聞こえてきた。そして、カウントダウン当日の本番も見に行き、姿と共に、歌声を聴いたのだ。
ちなみに、デビューシングルの発売は年明けだったので、いわばメジャーデビューする前だった。もちろん、お客さんは閑古鳥状態。その後の平松エリのコンサートと比較すると、動員数は雲泥の差だった。しかし、その後、色々なドラマやアニメなどの主題歌に採用され、今回はNHKの「みんなのうた」の宣伝も兼ねたコンサートのようだ。
開演開始の15時前、コンサート会場となる祝祭広場の座席はほぼ満席。約4年ぶりに聴いた歌声はやっぱりとってもキレイで、フリートークが不慣れっぽい雰囲気も、以前と変わらなかった。
会場の祝祭広場(コンサート中は撮影禁止だった)
西梅田→住之江公園 【普通】大阪市営地下鉄
住之江公園→トレードセンター前 【普通】大阪市営地下鉄(ニュートラム)
地下鉄四ツ橋線で西梅田から終点の住之江公園へ。そして、ニュートラムに乗り換える。
以前の別府行のさんふらわあは、南港フェリーターミナルから発着していたが、数年前からATC(アジアトレードセンター)に乗り場が移った。そんなわけで、フェリーターミナル前で降りず、トレードセンター前で下車する。
久しぶりにやってきたATCは、ずいぶん変化していた。以前の土曜日であれば、絶好のデートスポット。若いカップルや家族連れがワンサカいたものだが、今はいくつかの店は閉まり、人もまばら。
橋下市長(元知事)で話題になった大阪府咲洲庁舎(旧WTC)も同様で、こちらにいたってはゴーストタウンのようだ。
とにもかくにも、フェリーさんふらわあの窓口へ。昔ながらのフェリー乗り場の野暮ったい雰囲気はなく、とってもカラフルでキレイな窓口。待合室も冷暖房やテレビが完備されている。すぐ横には、ローソンもあり、スマホにローソンアプリを入れていれば、ローソンWi-fiで快適なインターネットも可能だ。
弾丸フェリーでネット予約の旨を告げ、乗船券を購入。クレジットカードもOKだ。ベットの席番は、乗船後にフロントで指定してもらう流れらしく、空欄になっている。今回はツーリストベットにグレードアップしたので、往復12000円/人を支払う。
手前がATC、奥の高層タワーが大阪府咲洲庁舎(旧WTC)
フェリーの出航時刻は19:55。夕食を乗船前に食べるか、乗船後に食べるかが悩みどころ。
大阪〜別府を結ぶフェリーは2隻ある。1隻は「さんふらわあ こばると」、もう1隻は「さんふらわあ あいぼり」だ。2隻の船がピストン運航しており、1日1便のデイリー運航となっている。
事前のネットでのリサーチによると、あいぼりは1月頃より、こばるとは3/1より、夕食がカフェテリア方式からバイキング方式に変更されるとの情報を掴んでいた。ちなみに、さんふらわあに限らず、新日本海フェリーなどでも言えることだが、船の上のカフェテリア方式は何かと高くつく。好きなモノをちょこちょこトレイに乗せると、1000〜1500円は軽く超えるが、値段ほどの満腹感も感じられない。
そんなところで、目にしたのが、夕食バイキング1500円の情報。バイキングとなれば、腹いっぱい食べれるので、カフェテリア方式よりは幾分マシだ。そんなこともあり、僕も奥さんも船内バイキングのつもりでいた。
しかし・・・、窓口の前に掲示されている紙によると、今回乗船する「さんふらわあ こばると」のバイキング開始日は6日からとのこと。つまり、今日はまだカフェテリア方式ということなのだ。夫婦そろって、ガックリ・・・。
仕方なく、ATCで夕食処を探すことにする。以前と比べて、だいぶん店が変わっていて、サイゼリアやガストなどのファミレスもできている。コンビニ弁当でもいいかなと思いつつ、最後に行き着いたお店は、大阪府咲洲庁舎(旧WTC)1階にある「とんかつながた園」。
人影がなく閑散とした大阪府咲洲庁舎(旧WTC)
この店は以前から何度もお世話になっている。ここの店のいいところは、定食を注文すると、ごはん・お惣菜・漬物・味噌汁・生卵・クリームシチュー(時期によりカレー)が食べ放題なのだ。
僕は唐揚げ定食(840円)、奥さんはB定食(840円)を注文する。そして、登場した唐揚げ定食はボリュームたっぷり。奥さんのB定食はミンチカツと一口カツがどっさりの揚げ物三昧。ちょっと胃がもたれそう〜。
唐揚げ定食(840円)
B定食(840円)
食べ放題のお惣菜
食後はながた園の横にあるローソンでおやつなどを買出しする。
乗船開始時刻の18時半過ぎ、乗船ゲートへ向かう。すごく感じのよいスタッフに迎えられ、「さんふらわあ こばると」に乗船。ちなみに、以前の関西汽船といえば、とても愛想が悪かったイメージがあるのだが、飛行機や新幹線などライバルも多く、時代の流れだろうか・・・?
「さんふらわあ こばると」
乗船ブリッジがかなり長い
入口の船内案内所で乗船券を見せると、ベット番号を手書きで書き入れてくれる。男性のみ、男女の組み合わせ、子連れなどの旅行形態によって、部屋を振り分けているようだ。
僕たちのベッドは、12名部屋の一番奥の左右下段。乗客が少ないせいか、上段ベットは割り当ててないようだ。僕たちが一番乗りで入ったが、その後、2組の家族(いずれも成人)が入ってくる。4人家族は、左右の上下段ベットを割り振られていた。
ツーリストベットルーム(12人部屋)
昔の2等寝台といえば、病院のベッドにある長方形の硬い枕に毛布が定番だったが、時代は進化したようだ。このさんふらわあのベットには、ふわふわ枕と薄い羽毛布団が備え付けられており、すこぶる快適に寝れそうだ。ベッド内の蛍光灯にはコンセントもあり、スマホや携帯電話の充電にも困らない。
快適に寝れそうなベッド
大阪南港ATC(19:55)→別府港(翌朝7:55) 【フェリー】さんふらわあ こばると
混雑しないうちに、大浴場へ。脱衣場には100円のリターン式コインロッカーがあるが、フロント横にも貴重品ボックスもある。
浴槽はそれほど大きくなく、洗い場は7〜8席程度なので、乗客が多い時は大変かもしれない。今回は幸いなことに、それほど人が多くなく、洗い場がすべて埋まるようなことはなかった。
風呂から上がると、ちょうど出航時刻。ほぼ定刻の19:55に南港ATCを出航する。北海道へ向かう新日本海フェリーの高速フェリーと違い、広々としたデッキに出られるのが、瀬戸内海航路のいいところ。デッキに出て、遠ざかるATCなどのネオンを眺める。とってもキレイだ。
広々としたデッキ
遠ざかっていくキレイなネオン
出航した後は、船内探検へ。まずは、売店へ。お菓子やジュース、そして、関西と九州の土産物が販売されている。おまけに、お値段はとってもリーズナブルでコンビニと同価格(むしろ、安いモノもあった)。営業時間も22時までと、かなり頑張っている。
売店の正面にあるのがレストラン。そこで、ふと気づいてしまう。どうも料理が並び方がどう見てもバイキングっぽいのだ。そして、レストラン入口にある食券販売機を見て、確信する。確かに、バイキングだ。ということで、ATCの窓口に掲示されていた紙がウソだったようだ。ヒドイ・・・。
奥さんと帰りはバイキングにしようと心に誓う!
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船長さんのコスプレは無料♪
1フロア上にある、ラウンジ(新日本海や太平洋フェリーでいうプロムナード)へ。ところが・・・、衝撃的な刺激臭。どうやら、学生軍団がカップラーメンやカップ焼きそばを食しているようで、とんでもない臭いが入り混じっている。
おまけに、スペースはあまり広くなく、満席状態。あまりにも居心地が悪いので、一旦ベットへ戻る。少し休憩してから、再びラウンジで宴会でも…と思っていた。
しかし・・・、今週の仕事の疲れからか、そのまま眠りについてしまった。