昨日の天候とは打って変わって、今日は快晴。
青々とした空
「知床プリンス風なみ季」正面玄関
朝風呂に入った後、天気があまりにいいので、朝食前に夕陽台へお散歩に出かける。
夕陽台からは、青々とした空と海が広がる。静かなウトロ漁港に響き渡るウミネコ達の鳴き声、そして、北海道らしい心地よい涼風に当たっていると、本当に都会の喧騒を忘れてしまう。
木々のトンネルを抜けると…
うみねこの声が響くウトロの街並み
しばらくの間、ほっこりした後、お腹も減ってきたので、後ろ髪はひかれつつ、ホテルへ戻ることにする。
そうすると、何やらゴソゴソ・・・。
なんと、道路を我が物顔で歩くシカ。僕たちが近付こうが、触ってみようが、朝食の草がよっぽどおいしいのか、食べるのに夢中。
道路を我が物顔で歩くシカ
食べるのに夢中!
さすが、知床。まさしく、大自然の中にいることを改めて感じさせられた。
朝食会場は、昨夜の夕食と同じく、2Fにあるバイキングレストラン「オーロラ」。
自由席だが、会場はかなり広いので、まだまだ空席がある余裕さ。もちろん、バイキング形式。昨日の朝は、バイキングではなく、少なめの和定食だったので、なおさらテンションがあがる。
メニューは、おかゆ・サラダ・卵焼き・肉じゃが・お豆・天ぷら・シャケなどの定番モノも並ぶが、オススメはイカ刺しだ。ツヤツヤしたイカは、以前函館で食べたものよりもおいしく感じた。
僕のメニュー
奥さんのメニュー
他にも、山盛りのタラコや筋子など、北海道らしい海鮮メニューが充実。ちなみに、奥さんの好きなパンは、カボチャパンとクロワッサンがあったようだが、極めて普通だとか…。いつもはパン派の奥さんも、今回はご飯モノ中心のメニューで攻めていた。
奥さんのデザート!?
今日の行程は、盛りだくさんだ。
まず、午前中はJR北海道が運行する「ツインクルバス道東 羅臼・湿原号」で観光する。プロローグでも紹介したが、このツインクルバスは、いわゆる着地型の観光バスだ。
JR乗車券と同時購入することに乗車できるのだが、よーく見てみると、これがすこぶるお得なことに気づく。「羅臼・湿原号」の場合、ウトロ(知床)から羅臼・開陽台・神の子池・裏摩周を回り、塘路まで乗車しても、たったの1000円。おまけに、バスガイドさんの案内もあるというオトクぶりだ。
とっても便利なことに、このバスはウトロ地区の主要ホテルを周って拾ってくれる。もちろん、風なみ季も乗車場所に指定されている。
ロビーにあるツインクルバス道東の看板
ロビーでバスを待っていると、色々なツアーの人たち(いわゆる団体様ではない)が次から次へと出発していく。知床は、トレッキングやカヌーなど、少人数のネイチャーツアーが数多くあるようだ。こんなに天気がいいと、バスで観光よりも、体を動かしたくなってくる。いや、晴れただけでも感謝しないと…。
広々したロビー
風なみ季(8:05)→知床峠 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
定刻の8:05過ぎ、バスがホテル前に到着する。
今回は大阪を旅立つ前に、大阪駅前第一ビル9Fのツインクルプラザ大阪支店で乗車券を購入しておいた。バウチャー券をガイドさんに渡し、バスに乗車する。車両は阿寒バスかと思いきや、網走観光交通のバスだ。
席は自由席。乗客は全部合わせても15〜20名程度なので、かなりゆとりがある。ガイドさんの案内でバスは眼下にウトロの街を眺めながら、少しずつ標高が上げていく。
遠ざかっていくウトロの街
本来、ウトロを出発したバスが最初に停車する観光地は「道の駅 知床らうす」だが、今日はあまりにも天気がいいということで、バスガイドさんの配慮もあり、知床峠で臨時停車。
くっきり見える羅臼岳
熊笹の向こうには国後島がうっすらと…
本当に写真を撮るだけの時間、およそ5分ちょっとで再び出発。もっとゆっくりしたいところだが、塘路でノロッコ号に接続する関係で、あまり余裕がないのだそうだ。
そして、峠を下り、羅臼岳を挟んでウトロの反対側に位置する羅臼の「道の駅 知床らうす」に到着。
知床峠→道の駅知床らうす(9:00) 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
道の駅での観光時間は、約20分ほど。こじんまりとした道の駅の中には、お土産物屋さんや展望台(といっても、高さは道の駅の2階フロア)がある。
道の駅 知床らうす
今回お世話になる「網走観光交通」のバス
せっかく天気がいいので、道の駅の中は早々に引き上げ、道路を渡って、海辺へ。北海道とは思えないテリテリの太陽、バッチリ日焼けしてしまいそうだ。しかしながら、テリテリの太陽の下でも、心地よい冷たい風が吹き抜けるところは、本州とは違う。
霞んで見える島が「国後島」だ
言うことなしの快晴♪
正面に見える国後島は、本当に至近距離に見えている。当たり前のことだが、関西よりもはるかに近い外国なのだ。一方、その近い外国は、北方領土問題という側面から見ると、最も遠い外国の一つでもある。何とも複雑な気分だ…。
道の駅知床らうす(9:20)→開陽台(10:20) 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
道の駅を出発したバスは、牧場ばかりが広がる道をひたすら進む。このあたりの景色は、道内の中でも、本当に北海道らしい。
北海道にしては猛暑のせいか、牛の姿はあまり見当たらないのがちょっと残念。
北海道らしい光景が広がる
道の駅を出発してから約1時間ほどで、地球が丸く見えるというフレーズで有名な「開陽台」に到着する。駐車場でバスを降りて、数十段の階段を登ると、レストハウスと展望台がある、こじんまりとした観光スポット。
駐車場から数十段の階段を登る
ガイドブックでお馴染みのモニュメント
この開陽台に訪れるのは、今回で二度目だ。会社のバイク乗りの人から「開陽台がよかった」と教えられたのをきっかけに訪れて、最初のときは感動したものの、さすがに二度目は感動が薄れるというのが、本音の感想といったところか…。
その幻滅する一つの理由は、周りに見える人造物(携帯とか、航空関係のアンテナ類?)かもしれない。どうしても、俗世のモノが目に入ると、価値が薄れる気がする。一方、その恩恵を受けつつ、生活や旅をしていることも事実なのだが…。
目に飛び込んでくる何かのアンテナ
とはいっても、やっぱりこの景色はいい。無料の望遠鏡を覗いてみたり、しばしボッーとしながら雄大な景色を眺める。しかし、北海道らしからぬテリテリの太陽が暑い…。
展望台の上からの景色
地球が丸く見える、というのは少し無理がある?
開陽台を訪れる観光バスのガイドさんが必ずといってもいいほど、オススメするのが、レストハウスの「はちみつソフト」。しかし、「はちみつソフト」は前回賞味済みなので、あえてオススメに逆らって、ジェラード(300円)を注文してみる。
本州で食べるジェラードは、さっぱりしたシャーベットっぽいものが多い。しかし、さすがは北海道だけあって、ここのジェラートは牛乳感たっぷりでとっても美味。個人的には、むしろこちらの方がオススメだ。
オススメのジェラード(300円)
レストハウスの窓の下を見やると、とってもカワイイ小鳥が…。
あまりにカワイイので近寄ってみるが、一向に逃げる気配がない。おまけに、頭を撫でさせてくれる始末。「なんて、人なつっこい!」と思いきや、どうも調子が悪いようだ…。
奥さんと二人で心配そうに眺めていると、レストハウスの窓が開き、おにいさんが顔を出して、「時々壁にぶつかって、その衝撃でめまいを起こしちゃっているけど、しばらくしたら飛び立つから大丈夫ですよ」と…。
めまいを起こしているらしい、ドジな小鳥さん
ちょうどバスの集合時刻も近づいていたので、「とりあえず、一時的に調子が悪いだけなら良かった」と安心して、バスへ戻った。まぁ、鳥にとっては、この時も目下よくない状態だったと思うけど…。
開陽台(10:55)→神の子池(11:40) 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
バスは、再び北海道らしい道をひたすら走る。
開陽台を出発して、およそ45分。バスは幹線道路から外れ、細い砂利道を少し走り、「神の子池」に到着する。
駐車場から池までは歩いてすぐ
言い伝えでは摩周湖の伏流水からできているらしい
駐車場から歩いて1〜2分で、何ともいえない透明感いっぱいの神の子池が見えてくる。摩周湖の伏流水からできているという池は、エメラルドグリーン色そのもの。
ピュアなエメラルドグリーン色の「神の子池」
よーく見ると、魚が泳いでいるのが分かる
ほっこりしたいところだが、観光時間はたったの15分。加えて、さすがは大自然の中。蜂や虻が飛び交っており、刺されないかとビクビクしながら、写真撮影を済ませて、バスに戻る。
神の子池(11:55)→裏摩周展望台 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
次の観光スポットは「裏摩周展望台」。
昨日、一昨日訪れた第一展望台のちょうど反対側に位置する展望台だ。表側の展望台と比較すると、地味な存在だが、こちらの方が標高が低いらしく、霧がかかった日でも比較的摩周湖が見えやすいんだとか…。あくまでガイドブックの受け売りだが。
第一展望台のように大きなレストハウスはなく、こじんまりとした売店とトイレのみ。
裏摩周展望台の駐車場
個人的な感想をいえば、第一展望台から見た摩周湖の方が神秘さが勝っている気がする。もちろん、その日の天候や霧の状態でもイメージが違うのかもしれないが…。
神秘さは第一展望台の方が一枚上手か?
裏摩周展望台→摩周(13:00) 【バス】ツインクルバス道東 羅臼・湿原号
バスの次の目的地は、摩周駅。正午を過ぎて、そろそろお昼どき。バスは摩周駅で1時間ほどのお昼休憩となる。
このバスは、摩周からさらに塘路駅へと向かい、最終目的地の阿寒湖へ向かう。僕たちは塘路駅までの予約で乗車したが、バスガイドさんにお話して、摩周駅で離脱することにする。
というのも、先ほど裏摩周展望台で第三展望台の方を見てみると、全く霧がかかっていなかった。三度目の正直ということで、第三展望台にリトライしてみるためだ。
再びやってきた「摩周駅」
摩周駅の名物駅弁といえば、「摩周の豚丼」だ。帯広の豚丼も有名だが、数年前ぐらいから、摩周の豚丼もガイドブックやネットで見かけることが多くなっていた。
事前にバスの車内でバスガイドさんから豚丼の事前注文受付があった。ホテルの朝食バイキングでたらふく食べていたこともあり、1人1個は厳しそうなので、1個だけ注文しておいた。定価は1050円だが、特別価格で1割引の945円だ。
駅前にある「ぽっぽ亭」
豚丼の注文は強制ではなく、お腹がいっぱいだから食べないというのもアリだ。また、ガイドさんからも案内があり、近くにAコープがあるので、そこでパンや簡単なお弁当を買って食べるのもアリだ。ちなみに、店内が空いている日であれば、弁当ではなく、店内で食事ができる。
僕たちは、弁当を受け取り、ツアーからは離脱。駅の片隅に座って、1杯のかけそばならぬ、1折の豚丼を二人で食べる。
夫婦二人で箸をつつく、1折の「摩周の豚丼」
お肉は柔らか、タレはフルーティー(?)な味だ!
注文した時はあまりお腹が減っていなかったけど、予想以上のおいしさに、「1人1個でもよかったかなぁ〜」とつぶやいてしまう。
摩周(13:00)→摩周湖第一展望台(13:30) 【バス】摩周湖バス(えこパスポート)
摩周湖第一展望台(13:50)→摩周湖第三展望台(13:55) 【バス】摩周湖バス(えこパスポート
摩周湖第三展望台(14:10)→摩周湖第一展望台(14:15) 【バス】摩周湖バス(えこパスポート)
摩周湖第一展望台(14:30)→摩周(14:50) 【バス】摩周湖バス(えこパスポート)
裏摩周で見た第三展望台を信じて、リベンジ。
ということで、駅構内のえこパスステーションで荷物を預かってもらい、13:00発の摩周湖バスに乗車する。まさに、えこパス3daysパスポート使い倒しだ!
第一展望台手前の眺望もバッチリ♪
第一展望台でシャトルタクシーに乗り換え、到着した第三展望台は・・・「すばらしい!!」の一言。噂には聞いていたが、やはり第一展望台とは何か違う神秘さを感じさせられる。摩周湖は見る季節や時間、そして、場所でも大きく姿を変えるのだ。
空の雲が湖面に反射している
少し時間が経つだけでも、違う表情を見せる
向こう岸がさきほど訪れた裏摩周展望台だ
たった15分の滞在時間に後ろ髪を引かれながら、第一展望台へ戻る。昼から少し雲行きがあやしげ。しかし、その薄暗い雲でさえも、摩周湖を引き立たせる色を醸し出す。
第一展望台から見た群青色の摩周湖
ちなみに、これまでの経験からオススメ度を並べると、第三展望台>第一展望台>裏摩周展望台といったところだろうか?
再び、摩周駅へ戻ってくると、さらに雲行きが少し怪しくなっていた。
雲行きが少し怪しい
摩周(15:00)→900草原(15:40) 【レンタサイクル】
900草原(16:20)→摩周(16:40) 【レンタサイクル】
「弟子屈えこバス 3daysパスポート」を使い倒したが、まだまだ使い倒すのだ。釧路方面の次の列車まで約2時間程度あるので、レンタサイクルを借りて、900草原を目指すことに…。
駅構内のえこステーションで手続きを済ませる。スタッフの人からは、「大変ですよ〜頑張ってくださいね〜」と、同情するようなエールを送られつつ、出発。ちなみに、900草原へのレンタサイクルは過去2回経験しているので、どれだけしんどいかは承知済み。
駅を出発してしばらくは平坦な道が続く。この付近は摩周温泉と呼ばれるところで、道路の側溝から独特の硫黄臭がしてくる。
しばらくは平坦な道がつづく
そして、900草原の看板がある道を曲がると、ここからは急な上り坂がガッツリ続くのだ。
この道を曲がると、いよいよ本番!
ずっーと続く上り坂
途中、自転車を押して歩きつつ、駅を出発してから約40分で900草原に到着。昨年は45分かかったので、今年は5分短縮だ。これは体力が向上したというわけでなく、駅の観光案内所で一番走りやすい道を教えてもらったせいだろう…。
900草原到着♪
小さな展望台もある
たっぷり運動したので、汗だく状態。900草原といえば、奥さんとの初めての北海道旅行で訪れた地。その時も同じようにレンタサイクルで登ってきて、レストハウスで冷た〜いソフトクリームを食べた。奥さん曰く、「あの時のソフトクリームは格別だった」と…。
その格別なソフトクリームを再び賞味するため、レストハウスの中で注文すると、ちょうど店のおじさんがソフトクリームの機械を洗浄している真っ最中だった…、ざんねん。
ちなみに、初めての北海道旅行で奥さんはもう一言名言を残していた。「こんな男の旅みたいなしんどい旅行はもう行かん!」と…。あれから、十年ちょっと。毎年のように、そんな男の旅を一緒に続けている…。
こじんまりとしたレストハウス
仕方なく、ソフトクリームの代わりに、ペットボトルのジュースを買って、しばしホッコリする。ここへ来るときは、いつも天気がいまいちなのが、残念なところ。
ベンチに座って、しばしほっこりタイム♪
開陽台と同じく、地球が丸く見えるというのがウリ
グランドゴルフ場もある
帰り道はひたすら下っていくだけで、ほとんど漕がなくていい。行きは40分かかったが、帰りはたった20分弱で駅に到着した。
駅の近くのAコープでおやつを買った後、自転車を返却し、預けていた荷物を受け取った。
摩周(17:08)→釧路湿原(18:09) 【普通】
これで、3日間使い倒した3daysパスポートともお別れ。
摩周17:08発の釧路行きディーセルカーに乗車する。お昼は2人で1折の豚丼だけだったので、お腹がペコペコ。そんなわけで、Aコープで買ったおやつでティーブレイク。
おやつタイム♪
さて、このまま終点の釧路まで乗りとおしてもいいのたが、それも面白くない。摩周では崩れかけていた天気も回復している様子。
青空が見えてきた♪
以前からずっと行ってみたかった、"夕方の"釧路湿原を体験してみることにする。
というのも、早朝の釧路湿原は今まで幾度も体験している。かつて、といっても、比較的最近までの話ではあるが、札幌から釧路まで夜行列車が走っていた。釧路に早朝到着した後、釧網線の一番列車に乗り継げば、6時過ぎには釧路湿原に立つことができたのだ。
時折、北海道の写真集で見かける、夕陽が釧路川に写りこんだ光景を一度見てみたかったのだ。早朝の釧路湿原は体験できなくなったが、夕方の釧路湿原ならば、今でも気軽に体験できる。
ここまで書くと、手放しでいいことばかりだが、そういうわけでもない。この列車が釧路湿原に到着するのは、18時過ぎ。そして、次の列車がやってくるのは、20時前。
都会の駅ならまだしも、周りにお店も民家もない原生林の中の無人駅。ましてや、夕日が沈んだ後は、暗闇の世界なのかもしれない。男数人の旅ならまだしも、奥さんも連れているわけで、ちょっと悩んでみる。
とりあえず、奥さんに「どうする?」と聞くと、「降りる」と…。ということで、決心が付き、釧路湿原で下車(18:09着)。
列車を見送ると、心寂しい気持ちになる
駅で降りたのは、僕たち夫婦のみ。列車が出発した後は、あたりに静寂が広がる。なんだか何とも言えない寂しさというか心細さが心を支配する。
時刻表で次の列車(=釧路方面の最終列車)の時刻を入念に確認して、駅から少し離れたところにある細岡展望台を目指す。
釧路湿原駅
この駅の終電は19:49だ!
細岡展望台へは、比較的整備された道を進むコースと急な階段を進むコースがある。
日の入りまで時間がないので、とりあえずは急な階段のコースをチョイス。しかし、重い荷物を抱えた上で坂道を登るのはなかなか困難。
重い荷物を抱えて登るのは、けっこうきつい
追い討ちをかけるように、どこまで逃げても、蜂や虻がまとわりついてくる始末。奥さんはあまりの怖さに半泣き状態。おまけに、「キャー、キャー」叫ぶ始末。誰かが通りかかったら、下手すりゃ、僕が襲いかかったのかと、誤解されるんですけど…。
ビジターセンターもとっくに閉まっている
舗装された道に出ても、蜂と虻がまとわりつく
駅から歩いて10分ほどで、ようやく細岡展望台へ到着。
目の前に広がる光景は、まさしくガイドブックで見た光景そのもの。釧路川に写る夕日がとてもとてもキレイだ。
ここでほっこりしたいところだが、例の蜂と虻は、ハイエナのように僕たちに近寄ってくる。蜂と虻に刺されることはなくとも、蚊には至るところで献血してしまっていた。
引き込まれるような光景だ
釧路川に反射する夕日
あまりの人の少なさに薄気味悪いのと、蜂と虻の相手に憔悴している奥さんをここに置いておくのはよろしくないので、とりあえず駅に戻ることにする。
日が落ちて暗くなっていたので、下りは急な坂道コースではなく、整備された道をチョイスする。
舗装はされていないが、歩きやすい
釧路湿原(18:41)→塘路(18:53) 【普通】
塘路(19:37)→釧路(20:07) 【普通】
このまま駅へ戻っても、次の列車まで1時間以上はある。時間を潰すといっても、駅の待合室ぐらいだ。さらに、日が落ちて薄気味悪くなってきたので、できるならこの場から早く立ち去りたい。
そんなわけで、思いついたのが、釧路とは反対方面に向かう18:41発の網走行に乗車し、人家のある駅まで折り返すプランだ。しかし、このプランを思いついたのは、列車発車時刻の5分前。最後は全力疾走で走り、間一髪で乗車することができた。
列車の進行方向側のデッキを陣取ると、前方の線路をキツネやシカが横切るのを幾度も見かけた。改めて、釧網線が自然の中を走りぬけていることを認識する。
前方を見ていると、キツネやシカが幾度も横切る
さて、今宵の宿は釧路なのに、反対方向の列車に乗ってしまったわけで、どこが折り返さなければならない。当初乗車予定だった列車と行き違うのは、標茶だ。ただ、標茶で折り返すのはリスクが高いので、細岡〜五十石(細岡・塘路・茅沼・五十石)のいずれかで降りなければならない。
駅の雰囲気を見て、人家が多そうな駅を選ぶことにする。まず、一つ目の細岡はパス。そして、次の塘路。ここはどうやら人家が多そうだ。おまけに、何度か乗り降りしたことがあり、全く何もない駅ではないことは分かっている。
そんなわけで、勢いだけで、塘路で下車(19:01)。
なんだか哀愁が漂う駅だ
ウッドデッキのかわいい駅舎
夜は無人駅のようだが、待合室だけでなく、トイレもある。また、人影こそ見当たらないとはいえ、周りにはユースホステルや人家も多く、この駅なら安心だ。
待合室でぼっーとしてもよかったが、すぐ近くの公園に木造のミニ展望台があるのを発見。蚊に刺されないように、常に体を動かして足踏みしながら、沈んでいく夕日を夫婦そろって眺める。
三十○歳の夫婦、こんなところで何をやってんだか…、二人でつぶやく。まるで、男連れの大学生の旅のようだ。かつて自分がしていた旅そのままなのだが…。
公園のミニ展望台から駅を見下ろす
言葉にならない美しさだ・・・
すっかり辺りが暗くなった頃、ようやく当初乗車予定だった列車が到着。塘路19:37発の釧路行きに乗り込む。ちょっとスリリングな感じだったので、列車の座席に身をうずめると、ホッとした。
日が暮れて、すっかり暗くなってしまった
駅には僕たち二人だけ・・・
再び通り過ぎた釧路湿原駅では、4人組の大学生っぽい男の子達が乗ってきた。あの時、乗り遅れていれば、彼らと一緒にここで乗ってきたことになる。ある意味、彼らがいたから心強かったかもしれないが…。
そして、終点の釧路に到着(20:07着)。
今年もやってきました! 釧路駅♪
今宵の宿は、昨年もお世話になった「コンフォートホテル釧路」。信号にひっかからなければ、改札口からホテルの玄関まで3〜4分の至近距離だ。
とりあえずチェックインを済ませ、部屋に入る。あいにく喫煙室しか空いていなかったのだが、部屋はかなりタバコ臭い。おまけに、カーテンはむせ返るように臭いがこびりついている始末。せめて、空気清浄機ぐらいは動かしておいて欲しいものだ。
さらに、フロント前にあるウェルカムドリンクの麦茶も切れてる。昨年宿泊した時の印象はかなり良かったのだが、今回はなんだかいまいちなところが目立ってしまう。
今宵の宿、コンフォートホテル釧路
時刻も20時を過ぎ、お腹はペコペコ。気を取り直して、夕飯を求めて、街に繰り出す。
閑散としたホテル前の駅前通り
しかーし、このまま夕飯というわけには行かない。今まで幾度も訪れている釧路だが、一度も訪れたことがない隠れ観光スポットがあったのだ。
先日、図書館で借りたガイドブックで知ったのだが、幣舞橋を渡ってすぐのところにある「まなぼっと幣舞(釧路市生涯学習センター)」だ。
実は、この「まなぼっと幣舞」の最上階には、展望室があるのだ。おまけに、入場無料 かつ 22時まで営業しているというサービスぶり。ネットの情報では、観光客よりも地元のカップル達のデートスポットとして、メジャーなようだ。こんなスポットがあるならば、行かねばならぬ。
そんなわけで、空腹のお腹を抱え、「まなぼっと幣舞」を目指して、てくてく歩く。
幣舞橋を渡ると、正面の山の上に見えてくる
「まなぼっと幣舞(釧路市生涯学習センター)」
建物に入るが、1〜2人の人にすれ違うだけで、閑散としている。「ホントにこんなところに展望台があるんだろうか?」と不安になりつつ、案内板を探す。そして、案内板に展望室が印されていることを確認し、エレベーターで展望室へ。
そして、目の前に広がった光景は、キラキラと光る釧路市内の街並み。もちろん、幣舞端やフィシャーマンズワーフ「Moo(ムー)」もバッチリ見える。
目の前に広がる釧路市内の夜景
他に誰もおらず、僕たち二人だけの貸切展望台状態だ。そのうち、エレベーターが到着し、地元の若い学生カップルがやってくる。ジモティーのお邪魔をするわけにはいかないので、僕たちは退散する。ホントはお腹が減っていただけでもあるが…。
2Fロビーは吹き抜けになっている
2F玄関前から見た街並みもキレイ
もうお腹はペコペコで限界だ。実は、夕食スポットはほぼ決めてあったのだ。
数年前にもお世話になった、フィッシャーマンズワーフ「Moo(ムー)」の中にある、屋台村「港の屋台」だ。Mooの2Fフロアにあり、屋台風のお店が何軒も並んでいる。いまいちシステムが分からないところもあるが、お隣の店のメニューも注文できるようだ。
分かりやすくいえば、ショッピングモールの中にあるフードコートの居酒屋バージョンといったところか…。
屋台村「港の屋台」
一言でいえば、居酒屋版フードコート
いくつかある店の中で、僕たちが選んだのは、「万発舌」というラーメン屋さん。
2008年に訪れた時に、奥さんが食べていた塩ラーメンが思いの他、おいしかったのだ。
まず、今日はたっぷり動いたので、ぐいっと一杯ということで、レモンチューハイ(400円)をオーダー。ゆで枝豆はサービスで付いてくる。そして、二人揃って、「塩ラーメン」(600円)を注文。お腹がペコペコだったので、ざんぎ(600円)も1人前注文する。
枝豆はサービス♪
しばらく待って出てきた塩ラーメンは、魚介の味がたっぷりとするスープに、ちょうどいい固さの麺。3年前に食べたときと変わらず、おいしい。
ざんぎもオススメ。写真では伝わらないかもしれないが、キャベツの上に大きなざんぎが7個も転がっている。味ももちろん美味。
塩ラーメンは、濃厚な魚介味のスープ
ボリュームたっぷりのざんぎ
食後は、幣舞橋付近をブラブラとお散歩。
繁華街にあるセイコマートへおやつの買出し。僕は、ラーメンのシメに、なぜかとってもおいしそうに見えたおにぎり。そして、エクレア。奥さんは、半額で49円になったスコーン。
釧路川沿いの幣舞橋付近にあるベンチに座って、ほっこりおやつタイム♪
幣舞橋が見えるベンチでほっこり♪
セイコーマートで買ったおやつ
歩いていて、ふと目にした看板には、「フッシャーマンズワーフ災害復旧工事」と書かれている。
そう、東北で起こった3月11日の大震災の影響は、ここ釧路でもあったのだ。決して建物が倒壊したわけではないが、ここ釧路にも例の津波が押し寄せ、被害が発生したのだ。自然の威力を感じさせられる。
災害復旧工事の看板
もし、今ここで再び前回のような地震が起こり、津波が発生すれば、命も危ういかもしれない。偶然、旅でこの場に居合わせただけでも、不運なことになってしまうかれしれない。
そう考えると、つくづく運だなと思う。明日も明後日も、今日のような楽しい旅、そして、楽しい生活を送れることを願うばかりと思った一日の締めくくりだった。
コンフォートホテル釧路
(085-0015 北海道釧路市北大通13丁目1?1)朝食ビュッフェ無料!北海道産のじゃがいもとコーンを使用したポテトサラダやこだわりのスムージーなど多彩なメニュー◆小学6年生まで添い寝無料◆フリードリンク有、ウェルカムドリンクサービス