西日本パスで行く由布院・関門・黒部トロッコ旅行記

JR九州の一部とJR西日本エリアの特急・急行が乗り放題になるスーパーパスポート「西日本パス」。そんな「西日本パス」を使って、九州の由布院と関門エリアのついでに、ナント黒部峡谷鉄道のトロッコも楽しんだ2泊3日の弾丸トラベラー夫婦の旅行記。

  
3日目 (2009年06月21日)
外はどんよりな天気・・・

ホテルの窓から外を見てみると、天気予報どおり、やっぱり天気はいまいち。テレビで今朝の天気予報を見ても、雨マークが…。

今日の目的地は、黒部峡谷鉄道のトロッコ列車。気合を入れて、事前にネット予約しておいたのだ。なんといっても、運賃の高さ。1人あたり、片道1660円、往復で3320円。2人となれば、6640円。

それなのに、乗車キロは片道20.1キロ。JRの通常運賃ならば、たったの400円であることと比較すれば、ボッタクリであることが分かる。なおさら、晴れてもらわなければ困る!

窓の外はどんより雲な天気

窓の外はどんより雲な天気

早く目が覚めたので、ちょっと早めにホテルを出る。JR魚津駅構内のコンビニでパンとおにぎりを調達。

ちょっと早めにホテルを出発

ちょっと早めにホテルを出発

JR魚津駅構内のコンビニで朝ごはん調達

JR魚津駅構内のコンビニで朝ごはん調達

富山地方鉄道のローカル電車で宇奈月温泉へ

新魚津(8:14)→宇奈月温泉(9:00) 【普通】富山地方鉄道

地下道を通り、富山地方鉄道の新魚津駅の乗り場へ。地方の私鉄はJR駅と共用していることが多いが、ここは完全分離している。

手前が富山地方鉄道 新魚津駅、奥がJR魚津駅

手前が富山地方鉄道 新魚津駅、奥がJR魚津駅

8:14発の富山地方鉄道 普通電車で宇奈月温泉を目指す。ローカルな雰囲気の電車だ。電車の中で、コンビニで買ったおにぎりとパンで朝ごはん。車窓は、海に近い街 魚津から離れるにしたがって、緑が増えてくる。

そして、トロッコ列車の乗り場に近い宇奈月温泉に到着(9:00着)。

パンとおにぎりで朝ご飯

パンとおにぎりで朝ご飯

富山地方電鉄 宇奈月温泉駅

富山地方電鉄 宇奈月温泉駅

ちょっとガッカリな「黒部川電気記念館」

駅のコインロッカーに荷物を預け、トロッコ電車の乗り場となる「黒部峡谷鉄道 宇奈月駅」まで歩く。富山地方鉄道と黒部峡谷鉄道の駅はちょっと離れていて、歩いて5分といったところ。悲しいことに、雨がポツポツしてくる。

黒部峡谷鉄道 宇奈月駅

黒部峡谷鉄道 宇奈月駅

まずは、駅窓口で乗車券を引き取る。インターネットで事前予約し、支払いも銀行振込で済ませていたので、窓口では予約番号を印刷した紙を見せるだけ。通常の乗車券販売窓口は行列ができていたが、インターネット予約の乗車券受け取り窓口はガラガラだったので、手続きもスムーズ。

事前に予約しておいた便は11:06発だったが、予定よりも早くホテルを出れたので、10:03発に変更してもらう。

便数は結構多く、1時間2本程度

便数は結構多く、1時間2本程度

トロッコ列車の発車時刻まで少し時間があったので、駅の目の前にある「黒部川電気記念館」へ。関西電力が運営している施設のようで、入館無料。

関西の電力の源となっている、黒部川のダム。そのダムに関する展示PR施設だ。展示スペースは1Fのみで、5〜10分あれば見てしまえるような小さい資料館。ガイドブックなどに載っているので期待していっただけに、ちょっとガッカリ。

「黒部川電気記念館」

「黒部川電気記念館」

秘境を走る黒部峡谷鉄道トロッコ列車

宇奈月(10:03)→欅平(11:21) 【普通】黒部峡谷鉄道 トロッコ電車

いよいよ、本日のメインイベントであるトロッコ列車への乗車。乗車券は車両指定制になっており、号車指定で座席は確保されているが、席は自由なので、ちょっと早めに並ぶ。

少し早めに改札口へ並んでおく

少し早めに改札口へ並んでおく

車両には色々なグレードがあるが、今回は一番安いオープン客車(普通車)。窓が付いているデラックス客車やパノラマ客車などもあるが、トロッコ電車の醍醐味はやっぱり窓がないオープン客車だ!

オープン客車は、背もたれのない病院の待合室のイスのようなシートが並ぶ。窓はなく、開放感満点だ。背もたれはないものの、ソファ部分はフカフカなので、見た目よりも座り心地がいい。今回は車両の一番後ろの席を陣取り、後ろの壁を背もたれ代わりにすると、快適だ。

背もたれはないいが、ふかふかクッションのシート

背もたれはないいが、ふかふかクッションのシート

車両端の壁部分が即席背もたれになるのでオススメ

車両端の壁部分が即席背もたれになるのでオススメ

出発を待っていると、お決まりの写真撮影。希望があれば、帰りに写真が購入できるという観光地恒例の商売。さらに、ホームには立ち売りが登場。商売っ気満々だ!

欅平に向けて、出発進行!

10:03、いよいよトロッコ列車は宇奈月駅を発車。室井滋ナレーションによる観光案内でトロッコ列車はガタゴト進む。宇奈月駅を出発してすぐに渡るのは、「新山彦橋」。橋を渡っていると、隣に姉妹のようにかかる「山彦橋」が見える。

トロッコが渡る「新山彦橋」の横にかかる「山彦橋」

トロッコが渡る「新山彦橋」の横にかかる「山彦橋」

開放感満点のオープン客車

開放感満点のオープン客車

トロッコ列車が走る黒部峡谷鉄道は、黒部川に建設された関電ダムの建設資材や作業員の運搬を目的に開通した鉄道だ。それだけに、走るロケーションは崖っぷちの秘境。冬には雪崩の影響で線路が流れる恐れがあるため、一部区間では冬場は線路を撤去するのだとか…。もちろん、現在もダムの維持に活用されているようで、一般客用列車のダイヤに混じって、関電専用列車が走っている。

一般客は乗車できない関電専用列車

一般客は乗車できない関電専用列車

僕達の車両はガラガラでシート2列分に2〜3人という割合で、とてもゆったりしている。室井滋ナレーションの観光案内を聞きつつ、右を向いたり、左を向いたり…。宇奈月から離れるにしたがって、少しずつ肌寒くなってきたので、上着を着込む。天気が悪いのだけが残念な限り…。

ちょっと変わった建物の「新柳河原発電所」

ちょっと変わった建物の「新柳河原発電所」

途中にはいくつかの駅がある

途中にはいくつかの駅がある

単線なので、対向列車とのすれ違いも多い

単線なので、対向列車とのすれ違いも多い

重厚な石造りの「水路橋」

重厚な石造りの「水路橋」

冬は線路脇にあるトンネル「冬期歩道」を歩くらしい

冬は線路脇にあるトンネル「冬期歩道」を歩くらしい

黒部川第二発電所

黒部川第二発電所

力強い機関車が車両を引っ張る

力強い機関車が車両を引っ張る

「鐘釣駅」で4割ぐらいの乗客が下車する。特に、ツアー客は、この駅で下車して折り返すことが多いようだ。駅のすぐ横には、「黒部万年雪」があり、山肌に雪が積もっている様子がみれるが、この見方がなかなか難しい。

雪は真っ白というイメージがあるので、白い部分を探すわけだが、実は白くない。冬から残留している雪の上には土や泥が被さっているのか、土色に化粧をしてしまっているからだ。

「鐘釣駅」

「鐘釣駅」

雪の上に土か泥がかぶさっている「黒部万年雪」

雪の上に土か泥がかぶさっている「黒部万年雪」

宇奈月を出発して、1時間20分弱。終点の「欅平駅」に到着(11:21着)。

駅の近くにある「奥鐘橋」へ

欅平に到着すると、先ほどまでの雨と寒さは嘘のようで、カンカン照りの太陽と暑さ。今朝の天気予報の雨マークはなんだったのか…???

終点の「欅平駅」

終点の「欅平駅」

宇奈月の雨は一転して、晴天だ!

宇奈月の雨は一転して、晴天だ!

欅平周辺に食べるところはほとんどなく、混みだす昼時前に、駅の2Fにある「欅平駅食堂」へ。山の食堂だけにたいしたメニューはなく、定番のうどん・そば・カレー・丼物ぐらい。トロッコ列車で体が冷えていたので、温まるためにも、「天ぷらそば」(750円)を注文。

駅の2Fにある「欅平駅食堂」

駅の2Fにある「欅平駅食堂」

「天ぷらそば」(750円)

「天ぷらそば」(750円)

おなかも満たされたので、駅のすぐ傍にある「奥鐘橋」へ。橋から下の川を見下ろすと迫力満点。

駅の近くにある「奥鐘橋」

駅の近くにある「奥鐘橋」

見下ろすと清流が流れている

見下ろすと清流が流れている

橋を超えた先は、冬を越して、道の整備がまだできていないようで、通行止め。ただ、この向こうにある温泉へは、宿の客に限って特別に送迎の車が来てくれるようだ。

橋の向こうは通行止めになっている

橋の向こうは通行止めになっている

名剣温泉へは車での送迎があるらしい

名剣温泉へは車での送迎があるらしい

猿飛峡へミニハイキング♪

欅平駅から1キロ弱離れた猿飛峡へミニハイキング。猿飛峡まで遊歩道が整備されているが、道中には「落石注意」の看板だらけ…。注意しろっていわれても、どうすれば注意できるのやら…。

冬期歩道のようなトンネルがいくつもある

冬期歩道のようなトンネルがいくつもある

キラキラとした緑が気持ちいい

キラキラとした緑が気持ちいい

思ったよりもハードな道のりが続き、ハァハァと息を切らしながら、20分弱で猿飛峡に到着。雨の影響なのか、水量がかなり多く、迫力満点の川の流れを楽しむ。

直角に曲がる川の水流は迫力満点

直角に曲がる川の水流は迫力満点

緑がまぶしい

緑がまぶしい

すっかり晴天!

すっかり晴天!

清流黒部川をみながらの足湯

駅の方へ戻り、駅から河原へ下っていたところにある「河原展望台」へ。

河原展望台

河原展望台

見上げると、真っ赤な「奥鐘橋」

見上げると、真っ赤な「奥鐘橋」

展望台には、無料の足湯があり、しばし清流をみながら、ほっこりする。

展望台横にある足湯

展望台横にある足湯

足湯に入りながら、清流黒部川を満喫

足湯に入りながら、清流黒部川を満喫

帰りのトロッコ列車の時刻に近づいてきたので、駅に戻る。そして、駅の屋上にある展望台へ。展望台からは、さっき渡った「奥鐘橋」や行きかうトロッコ列車を眺めることができる。

展望台から奥鐘橋を見下ろす

展望台から奥鐘橋を見下ろす

トロッコ列車もバッチリ見れる

トロッコ列車もバッチリ見れる

帰りのトロッコ列車は大混雑

欅平(14:37)→宇奈月(15:54) 【普通】黒部峡谷鉄道 トロッコ電車

欅平での約3時間の滞在を終え、事前予約しておいた14:37発の宇奈月行きトロッコ列車で戻る。欅平から乗車する一般客は全員7号車が指定されているようで、ぎゅうぎゅう詰めで発車。行きはゆったりとしていたが、帰りは1列に4人が座る始末。

なのに…、他の車両には誰一人乗っていない。「なんてケチなんだ!」と思っていると、次の「鐘釣駅」で団体客が大量に乗車し、全車満席状態。特に、団体客が乗っている車両は僕達の車両の比にならない混雑ぶり。

1時間20分弱の旅を終え、宇奈月駅に戻ってくる(15:54着)。

すっかり天気も良くなっている!

すっかり天気も良くなっている!

再び宇奈月駅へ

再び宇奈月駅へ

トロッコ列車を撮影するベストスポット「やまびこ遊歩道」

魚津行きの電車までに時間があったので、宇奈月駅から宇奈月ダムまで続く、「やまびこ遊歩道」を軽く散策してみることに…。

「やまびこ遊歩道」は駅の横にある階段からスタート。まずは、トロッコと並行する遊歩道沿いに進み、トロッコ列車から見た「山彦橋」を渡る。この橋から反対にトロッコが通る「新山彦橋」をカメラに収めるベストポイントだ。

やまびこ遊歩道のスタート

やまびこ遊歩道のスタート

トロッコが通る新山彦橋をカメラに収めるベストポイント

トロッコが通る新山彦橋をカメラに収めるベストポイント

橋を渡り終えると、トンネルが現われる。そして、トンネルを抜けると、宇奈月ダムの展望台にたどりつく。

宇奈月ダムへと続くトンネル

宇奈月ダムへと続くトンネル

展望台から宇奈月ダムを望む

展望台から宇奈月ダムを望む

ゆったりと眺めていると、時間がなくなってしまった。ということで、走って、「富山地方鉄道 宇奈月温泉駅」を目指す。

宇奈月温泉駅へ向かう道

宇奈月温泉駅へ向かう道

弾丸トラベラーの旅もラストスパート

宇奈月温泉(16:32)→新魚津(17:12) 【普通】富山地方鉄道
魚津(17:23)→富山(17:38) 【特急】はくたか16号
富山(17:56)→京都(20:54) 【特急】サンダーバード46号

いよいよ、旅も終盤。後は、家を目指すのみ。

宇奈月温泉16:32発の富山地方鉄道 普通電車に乗車し、新魚津を目指す。走って汗だくだったので、ローカル電車には珍しい車内自動販売機でお茶を買う。

新魚津へ向かう富山地方鉄道の普通電車

新魚津へ向かう富山地方鉄道の普通電車

新魚津でJRへ乗り換え。朝の天気とは正反対でとってもいい天気。あまりにも暑いので、乗り換え時間にコンビニでアイスクリームを買って、ホームで食べる。

魚津17:23発の特急「はくたか16号」に乗車。乗車時間が短いのと、西日本パスの指定席交付回数を使い切っていたので、自由席へ。自由席は2席を1人で使っている人が多く、2人並んで座れる席がなかったので、デッキで立つことにする。そして、15分ほどで富山に到着(17:38着)。

富山では20分弱の乗り継ぎ時間があったので、駅前氏周辺をブラブラして、電車の中で食べる夕飯探し。色々な駅弁も物色したが、結局はいつもお世話になっているJR西日本のコンビニ「ハートイン」の398円弁当。たった398円なのに、白身魚フライ・コロッケ・ちくわの天ぷらも入っているのり弁。ただ、これだけではなんだか寂しいので、580円から100円引きの480円になっていた、「さばの笹寿司」を購入。

いよいよ、西日本パスの旅もフィナーレ。富山17:56発の特急「サンダーバード46号」に乗車。もちろん、グリーン車だ。夕暮れを見ながら、お弁当を食べる。なんとも旅情いっぱいな感じ。

特急「サンダーバード」のグリーン車

特急「サンダーバード」のグリーン車

売店で買った笹寿司(480円)

売店で買った笹寿司(480円)

笹の香りたっぷりのさば寿司

笹の香りたっぷりのさば寿司

旅の最後は優雅なグリーン車と思いきや、子供がいっぱい。もともと安い西日本パスなのだが、子供は半額。ということで、グリーン車でもリーズナブルなわけで、家族連れが多いのだ。

さらに、グリーン車というのは傲慢な客も多いようだ。座席で携帯を使って会話をしていたおっさん、車掌に注意されると、逆ギレする始末。車内を見回してみると、なんだか車掌の検札にも偉そうな対応をしているサラリーマンが多いこと。グリーン車っていうのは、そんなもんなのだろうか???

左側の車窓に、暗いながらも琵琶湖が見えてくると、いよいよ旅も終盤。トンネルを抜け、京都に到着した(20:54着)。

京都に到着した「サンダーバード」

京都に到着した「サンダーバード」

九州と北陸を2泊3日で駆け抜けた今回の旅。グリーン車にも乗れて、3日間で20000円とオトクな西日本パス。高速道路1000円化の影響で登場したフリーきっぷだが、とても有意義なキップだった。

秋にでも、再びこのキップで旅に出てみたい。

(終わり)

※本旅行記の2009年6月時点の情報となっています。2009年8月以降、西日本パスはリニューアルされており、エリア拡大・値上げ・指定券交付回数の変更などが行われていますので、実際にご利用される場合はJR西日本のホームページ等でご確認ください。


[旅行記に出てくる地域近辺の宿かも?]