岩国・秋吉・下関・仙崎・湯田温泉をめぐる山口旅行記

山口県。大阪から見ると、九州まであと一歩、かといって広島よりも遠い。中途半端で通り過ぎてしまうことの多い「山口県」にスポットを当ててみた。岩国・秋芳洞・下関・金子みすヾを訪ね、そして温泉を楽しむ山口旅行記。

  
3日目 (2008年01月12日)
和食がおいしい朝食バイキング

天気はあいにくの曇り。

朝食はバイキング方式。夕食と同じレストラン会場だ。和洋両方のメニューが揃っているが、和食の方がオススメ。メニューは、おかゆ・豆腐・かまぼこ・明太子・あさりのみそ汁・干物など、種類も豊富。色々なメニューの中で一番オススメなのが、ブリだいこん。これは絶品だった。全般的にレトルトや冷凍モノといった感じではなく、手作り感があった。

一方、洋食の方は一般的なベーコンやソーセージなど。パンも1種類でクロワッサンのみ。それもあまりおいしそうに見えなかったので、食べなかった(実際はおいしいかもしれないけど…)。

湯田温泉から下関へJRで移動

ホテル→湯田温泉 【徒歩】
湯田温泉(8:32)→新山口(8:52) 【普通】
新山口(9:14)→下関(10:20) 【徒歩】

今日の目的地は、湯田温泉と同じく山口県に位置する仙崎と青海島。地元では、この地区を「北浦」と呼んでいるらしい。ホテルをチェックアウトし、最寄りのJR湯田温泉駅まで歩く。思ったよりも近く10分もかからなかった。

湯田温泉駅

湯田温泉駅

駅前通り

駅前通り

怪我をした狐が温泉で足を治した話があるとか…

怪我をした狐が温泉で足を治した話があるとか…

湯田温泉から山口線で新山口へ。そして、山陽本線で乗換え、下関に10:20到着。

新山口駅

新山口駅

遊び心豊かな「みすヾ潮彩号」

下関(10:40)→仙崎(12:44) 【快速】みすヾ潮彩号

今回の旅のメインデッシュの一つ、「みすヾ潮彩号」。新下関から童謡作家「金子みすヾ」ゆかりの地である仙崎へ向かうイベント列車。2両編成のうち、指定席と自由席が1両ずつの編成。外観はカラフルなボディだが、指定席と自由席では内装は全く違う。自由席は極々一般的なボックスシートが並ぶ車内。一方、指定席はソファシートがゆったりと並び、シートは一部を除いて、窓側(日本海側)を向いている。

18きっぷとは別に、指定席券510円が必要。5日ほど前にみどりの窓口に取りにいき、空席を見てもらったところ、並びの席はないと言われた。その割りに、マルスの画面には残席数は25席も…。定員44席にも関わらず、半数の22席以上が残っている。つまり、理論的には横並びの席が取れるはず…。

何となく変わった座席の車両であることは知っていたので、きっとそのせいだとヤマを張って、「隣じゃなくてもいいので、取ってください」とお願い。そして乗車当日、ナゾが解けた。2番と4番 A〜D席だけはボックス席。残りはすべて日本海側に90度回転したソファシート。偶数番のA/D席は日本海寄り、奇数番のA/D席は日本海側を向いているが山側に配置されたシートだ。ボックス以外にはB席/C席が無い。つまり、おすすめは2番と4番を除く、奇数番の座席。そして、A席とD席は隣の席になる。ちなみに、僕たちはベストな8番A/D席。

「みすヾ潮彩号」

「みすヾ潮彩号」

10:40に下関を出発。なかなか盛況のようで、座席はほぼ満席。出発するやいなや、後ろでおばちゃんがごねている模様。どうやら2人組で乗車したらしいが、座席が隣合わせではないのだとか…。みどりの窓口で買う時になぜ行ってくれないのか?という主張らしい。ちなみに、そのおばちゃんが指定されていたのは、連番のA席。推測するに、発売したみどりの窓口の係員は、変わった座席配置になっていることを知らず、ボックスシートの向かい合わせを取ったつもりになっていたのだろう…。この複雑怪奇な座席配列のせいで、トラブルが頻発しているのではないかと、ちょっと気になるところ…。

沿線の車窓ガイドマップのパンフを見ながら、しばし旅気分。

日本海が見えてくる

日本海が見えてくる

途中3ヶ所のビュースポットでは、駅でもないのに、一旦停車してくれるサービス付き。ビュースポットでは、車掌とは別に同乗しているガイドのおばちゃんによる案内放送も付く。せっかくのビュースポットだが、あいにくの天気のせいで、その価値もちょっと半減・・・(T_T)

ビュースポットでは2〜3分停車する

ビュースポットでは2〜3分停車する

そして、お昼ごはん。列車といえば、やっぱり駅弁。というわけで、車内の売店コーナーで「ふく寿司」(830円)を購入。あまり期待はしていなかったが、しっかり酢の効いたご飯の上に、フク・フクヒレ・エビ・トビコ・うに味噌・海草・椎茸・錦糸玉子など。駅弁といえば、雰囲気を味合うもので、味はそこそこ、高くて少ないイメージ。しかし、ボリュームもあっておいしく、予想外だった。

「ふく寿司」(830円)

「ふく寿司」(830円)

ふくはもちろんのこと、いろんな具材が載る

ふくはもちろんのこと、いろんな具材が載る

駅弁を食べていると、突然車両の前方で紙芝居が始まる。この時だけは、紙芝居の方(車両前方)へ座席を90度回転。紙芝居は「金子みすヾ」の一生を物語るダイジェスト版のような内容。数年前、金子みすヾが一時期ブームになったのは知っていたが、童謡詩人があることは紙芝居で初めて知った。語り部のおばちゃんは、とても愛想がよく、ビュースポットで窓が曇っていると、タオルで拭きに回るサービスもしてくれた。

車内にはみすヾの詩のポスターもある

車内にはみすヾの詩のポスターもある

長門市で半分ぐらいの乗客を降ろした後、12:44に仙崎到着。6分後に再び下関行きとなる「みすヾ潮彩号」に乗って帰る人も少なくなかった。

金子みすヾゆかりの地「仙崎」

仙崎を訪問するのは、十数年ぶりだ。高校時代の夏休みに訪れたきり。その時はとても暑かった記憶しかないが、今回はみぞれまじりの暴風雨。傘が松茸にならないような気をつけながら、駅前通を歩く。

まずは、金子みすヾを知るために「金子みすヾ記念館」へ。入口で入館料350円を支払い、みすヾが営んだ「金子文英堂」を再現した建物に入る。木造2階建、1階は書店が再現され、2階にはみすヾの部屋も再現されている。

「金子文英堂」(記念館入口)

「金子文英堂」(記念館入口)

みすヾの部屋

みすヾの部屋

井戸

井戸

なぜかトイレも再現

なぜかトイレも再現

文英堂は本館(記念館)に連絡廊下でつながっている。こちらは、みすヾの一生やその周りの人物との関係を説明した展示が中心。みすヾの娘(といっても、おばあさん)が語るビデオも上映されている。

みすヾの詩は特有の雰囲気を持つ。詩を一読しただけでは、大きな誇張や特徴、そして演出もない。しかし、よく読んでいると、何となく心にじんわりくるような気がしなくもない。展示を見ていた女子高(大?)生ぐらいの子が「わたし、この詩理解できない」と話をしていたが、それも分からなくない。ピカソのような芸術的要素が含まれているのだろうか。しかし、ピカソが動の芸術ならば、みすヾは静の芸術だと感じた。

気がつくと、展示に見入り、入館してから2時間も経っていた。最近、こういった歴史の人物に興味を持つことが多くなった。こういった人物の記念館に来ると、見入ってしまうのだ。昔はこんなことは無かったのだが…。奥さんも同じことを言っていた。

ちょっとだけ青海島へ上陸

本来の予定ならば、青海島を周遊する観光船に乗るつもりだったが、あいにくの天候。そんなわけで、仙崎の街めぐり。街は雨のせいなのか、それとも過疎化のせいか、活気かなくひっそりとしている。

みすヾの葬られている「遍照寺」の前を通り、海の方へ出てみると、青海島が見えてくる。本土と青海島は、歩いて渡れる青海大橋で結ばれており、せっかくなので青海島へ上陸してみることにする。

対岸に見える青海島

対岸に見える青海島

青海大橋へ上がる階段

青海大橋へ上がる階段

青海大橋をわたる

青海大橋をわたる

青海島側から見た青海大橋(仙崎方面)

青海島側から見た青海大橋(仙崎方面)

青海島をぐるっと観光する時間はないが、青海大橋を渡ってすぐのところにある「王子山公園」へ。みすヾの詩題にもなっている「王子山」展望台からは仙崎の町並を眺めることができる。天候がよければ、もっとキレイに違いない。

展望台への小道

展望台への小道

王子山公園展望台からの眺め

王子山公園展望台からの眺め

列車の時刻が迫ってきているので、10分足らずの青海島滞在の後、駅に向かって、港沿いを歩く。やっているのか良く分からない宿や食堂も少なくない。お昼どきではないからだろうか。それとも、シーズンオフだからだろうか?

駅に向かう途中にあった「青海大橋バス停」

駅に向かう途中にあった「青海大橋バス停」

舞鶴と同じく、海外からの引き揚げ地だったらしい

舞鶴と同じく、海外からの引き揚げ地だったらしい

帰り際に寄ってみた青海島観光船乗り場。最終の観光船は出た後のようで、人気が全くない。お土産物屋さんがあったので、ちょっと冷やかしてみようかと思ったら、次々と店のおばちゃんが出てきて、手招きをしてくる。あまりにも怖かったので、急いで仙崎駅へ戻った。

店のおばちゃんが怖い観光船乗り場

店のおばちゃんが怖い観光船乗り場

仙崎駅

仙崎駅

仙崎から美祢線経由で下関へ

仙崎(16:01)→厚狭(17:18) 【普通】
厚狭(17:42)→下関(18:41) 【普通】

仙崎16:01発の厚狭行き普通列車に乗車。1両編成のディーゼルーカーだ。のんびりとコトコト進みゆく列車に揺られ、熟睡モード。

この列車の行き先は「厚狭」。しかし、奥さんはこれが読めない様子…。「あっきょう」「あつぜま」「こうきょう」などなど、珍回答が続々と出てくるが、結局正解できず。ちなみに、正解は「あさ」。

1両編成のディーゼルカー

1両編成のディーゼルカー

「厚狭」と書いて、「あさ」と読む

「厚狭」と書いて、「あさ」と読む

厚狭では、下関行の普通電車が来るまで、ホームで寒さに耐えしのぐ。そして、厚狭17:42発の普通電車で下関へ到着(18:14)。

駅前の「ヴィアイン下関」へチェックイン

今夜の宿は、下関駅前にある「ヴィアイン下関」。改札口から歩道橋を渡って、徒歩5分ほど。フロントの対応は極めてスマート。今回は、楽天トラベルで予約。セミダブル素泊まりで、1泊5980円/室。今回は楽天トラベルのポイント900円分を使ったので、5080円/室。部屋はとてもシンプルで小ギレイ。典型的な清潔感あふれるビジネスホテル。

1Fには養老の滝グループの居酒屋さん、地下には喫茶店(食堂?)があるようだ。今回は朝食は付けなかったが、朝食は2店舗から選べるらしい。コンビニは徒歩5分ぐらいのところにセブンイレブン、そして駅まで行けば、JR西日本グループのコンビニ「ハートイン」もある。

「ヴィアイン下関」の玄関

「ヴィアイン下関」の玄関

夕食を求めて、「カモン・ワーフ」へ

駅(ホテル)周辺のふく料理店で夕食という選択肢もあるが、一度も行ったことのない「カモン・ワーフ」へ行ってみることにする。「カモン・ワーフ」は関門海峡が望める、観光型複合ショッピング施設。下関駅からはバスも頻発しているが、今回は運動不足解消のために歩いてみる。

ホテル(駅)からカモン・ワーフまで国道沿いにひたすら歩く。人が少なく、ちょっと暗めの道。しかし、20分少しで到着!

「カモン・ワーフ」

「カモン・ワーフ」

イルミネーションツリーもキレイ!

イルミネーションツリーもキレイ!

対岸の夜景は、門司港だ

対岸の夜景は、門司港だ

ほとんどの物販店は閉まっていたが、レストランは軒並み営業中。ふく料理のお店が多い。フルコースならば、3000〜5000円程度。唐揚げやフク天などの定食ならば、1000円台でも楽しむことができる。せっかくの下関なので、フク料理もいいが、フクは昨晩の夕食で堪能済み。せっかく魚がおいしいところ来ているので、なぜか回転寿司「すし遊館」にしてみる。

大阪できみかけないが、1皿126円均一のチェーン店。旅先で入る回転寿司は一か八か…。今回はどうやら当たりだったようで、ネタによっておいしい or まずいの大きな違いがあるが、とりわけサーモンとブリが美味。特に、ブリカマの唐揚げ(157円)はとっても大きくておいしい。あまりのおいしさに、奥さんと2人で2皿食べた。2人で会計2000円程度。とてもリーズナブルな夕食だった。

「カモン・ワーフ」の中にある「すし遊館」

「カモン・ワーフ」の中にある「すし遊館」

食後は運動がてらに周辺散策。目に付いたのは、「カモン・ワーフ」の目の前にある神社。青白いイルミネーションにひかれて、お参りしてみる。実は正月は初詣し損ねたので、今日が初詣。

青白いイルミネーションの神社

青白いイルミネーションの神社

神社の階段から眺める夜景もキレイだ

神社の階段から眺める夜景もキレイだ

「カモン・ワーフ」近辺は海沿いに木造デッキがあり、暖かい昼間ならば、とってもマッタリできそうな感じ。釣り人も多い。ちょっと懐かしい10年ほど前の音楽がスピーカーから流れるなか、中学 or 高校生ぐらいのカップルが楽しそうに話をしているのを見て、少しほのぼのしてしまった。

ライトアップされた海沿いの木道

ライトアップされた海沿いの木道

関門海峡大橋(ちょっと映りが悪いけど…)

関門海峡大橋(ちょっと映りが悪いけど…)

カモン・ワーフもライトアップかキレイ

カモン・ワーフもライトアップかキレイ

再び、1.8キロの道のりをホテル目指して歩く。帰りがけに寄った「海峡ゆめタワー」は、21時を過ぎているため、すでに閉館。次回訪れる際は、ぜひタワーの展望台から関門海峡を見てみたいものだ。

海峡ゆめタワー

海峡ゆめタワー

ホテル近くのセブンイレブンで明日の朝食と夜食のおやつを買い、ホテルへ戻った。

404 404
今宵の宿情報

ホテルヴィアイン下関

(山口県 下関市)

今回泊まった部屋:  セミダブル (素泊まり)
今回の宿泊費(1人あたり):  2500〜2999円 
・Trips管理人 評価: 3.0  (管理人提供宿泊レポート)



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