龍馬伝ゆかりの地を訪れる高知弾丸高速バス旅行記

ゴールデンウィークの、とある一日。夕方にふと旅に出たくなり、そして、数時間後には夜行バスに揺られていた。いつもは夫婦二人旅だが、今回は訳あって一人旅。大河ドラマ「龍馬伝」のゆかりの地である、安芸と高知を訪れた、1泊車中泊のみの夜行バス弾丸旅行記。

  
2日目 (2013年05月04日)
すっかり近代化してしまった「高知駅」

高知インター南BTへの停車アナウンスで目を覚ます。このバス停を出れば、すぐに高知駅だ。定刻よりも10分早着の5:15、高知駅に到着する。

高知駅に到着

高知駅に到着

久しぶりに訪れた高知駅は、すっかりキレイな高架駅になっていた。最近、地方の味のある駅がどんどん近代的な建物に建て替えられていく。懐かしい思い出が消えていくようで、少し寂しいものだ。

駅構内のキレイになったトイレで洗顔と歯磨きを済ませる。そして、駅の近くにあるサークルKでパンを調達して、急いで駅へ戻る。

岩崎弥太郎の生家がある「安芸」へ

高知(5:47)→後免(6:04) 【普通】

高知5:47発の土佐山田行きの普通列車に飛び乗る。ロングシートのディーゼルカーだ。車内の乗客をみると、高速バスで一緒だった人たちもちらほら。途中の観光地もない普通の駅で次々と降りていく。高知から大阪へ進学で出てきた若者たちがゴールデンウィークで里帰りしているのだろうか?

終点まで乗り通さず、その名も、後免(ごめん)で下車。

高知駅に停車する普通列車

高知駅に停車する普通列車

後免駅

後免駅

後免で降りたのは理由がある。実は、自宅から大阪駅に向かう途中でスマホを駆使して、今回の行く先を検討した。その結果、以前からずっと気になっていた安芸にいってみることにしたのだ。

「なぜ、安芸か?」といえば、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の岩崎弥太郎の生家があるのだ。龍馬伝の主人公は、言うまでもなく坂本竜馬。しかし、僕が興味を持ったのは、後々に三菱を創設した岩崎弥太郎だった。ドラマ放映当時は、弥太郎に関する本をよみあさったものだ。

海沿いを走る「土佐くろしお鉄道」

後免(6:21)→安芸(7:05) 【普通】土佐くろしお鉄道

後免から安芸までは、JRではなく、第三セクターの「土佐くろしお鉄道」で移動する。

後免から安芸までの運賃は890円。往復すれば1780円。ちなみ、土佐くろしお鉄道の「ごめん・なはり線 1日乗り放題きっぷ」は1600円。つまり、単純に往復するだけでも、乗り放題きっぷの方が得なのだ。

そこで、後免駅の窓口に行ってみるが、朝が早すぎて、まだクローズ中。このままでは、普通に乗車券を買うしかないのかと諦めていたが、これから乗る普通列車の車掌さんにダメモトで聞いてみると、「安芸駅で降りる時に1日乗車券を購入してもらえばいい」とのこと。

後免6:21発の普通電車で安芸へ移動する。海沿いに沿って走る車窓の眺めがまた良い。

イラストが描かれた「土佐くろしお鉄道」の車両

イラストが描かれた「土佐くろしお鉄道」の車両

車窓からの海の眺めがよい

車窓からの海の眺めがよい

無料のレンタサイクルで安芸を快走♪

安芸駅に到着したのは、まだ7時過ぎ。いつもの休日ならば、まだ布団の中にいる時間だ。そんな早朝にもかかわらず、安芸駅はなぜか活気づいている。

その理由は、「ぢばさん市場」が駅舎の中にあるのだ。「ぢばさん市場」は、いわゆる道の駅っぽいもので、地元の野菜・お弁当・焼き立てパン・土産物などが並んでおり、それ目当ての地元のお客さんがマイカーでやってきているのだ。

安芸駅に併設された「ぢばさん市場」

安芸駅に併設された「ぢばさん市場」

この「ぢばさん市場」には、とっても嬉しいサービスがある。それは、レンタサイクルの無料貸し出しサービス。レジの横のカウンターで名前や電話番号など必要事項を記入し、自転車のカギを受け取る。自転車は市場のすぐ裏に所狭しと並んでいる。

早速、自転車で駅を出発。お天気がよく、とっても気持ちがいい。田んぼに囲まれた平坦で走りやすい道を快走する。

そして、駅から走ること、約20分。岩崎弥太郎の生家に到着する。

走りやすい道だ♪

走りやすい道だ♪

田んぼに囲まれた道を進む

田んぼに囲まれた道を進む

弥太郎の生家に到着(写真は今回借りた自転車)

弥太郎の生家に到着(写真は今回借りた自転車)

弥太郎が天下制覇を目指して作った石の日本列島

時刻は、まだ7時半過ぎ。

そのせいもあって、僕以外には1〜2組の観光客とスタッフの人ぐらい。ガラガラなので、ゆったりと生家の中を見学する。「ここで弥太郎が生まれた」と思うと、なんだか感慨深いものを感じる。

岩崎弥太郎生家の看板

岩崎弥太郎生家の看板

ここで弥太郎は生まれた

ここで弥太郎は生まれた

庭には、弥太郎が天下制覇を志して、石で作った日本列島がある。

弥太郎が天下取りを志してつくった日本列島

弥太郎が天下取りを志してつくった日本列島

日本列島の解説板

日本列島の解説板

個人的がっかり観光地「野良時計」

少しずつ観光客が増えてきたので、弥太郎の生家を出発。次なる目的地は、観光マップに一押しな感じで掲載されている「野良時計」。

ところが・・・、野良時計を見事に通り過ぎてしまい、道を引き返す始末。その理由は、野良時計があまりにも、目立たないモノだったからだ。外観から写真を撮って眺めてみたが、個人的には「ふ〜ん」としか思えない観光スポットだった。

個人的には微妙だった「野良時計」

個人的には微妙だった「野良時計」

駅へ戻る途中、駅近くにある大きな岩崎弥太郎像に少しだけ寄って、ぢばさん市場で自転車を返却する。

大きな岩崎弥太郎の銅像

大きな岩崎弥太郎の銅像

今日こそ、念願の高知城へ

安芸(9:19)→高知(10:25) 【普通】土佐くろしお鉄道(JR直通)

安芸9:19発の土佐くろしお鉄道の普通列車で高知へ戻る。行きは後免で乗り換えたが、帰りはJRへの直通列車だったので、高知まで乗り換えなしだ。高知へ遊びに行く若者や家族連れで車内は大混雑だった。

高知駅へ戻ってきた

高知駅へ戻ってきた

今回、高知へやってきた目的は、弥太郎だけではない。もう一つの目的は、高知城だ。これまで高知へは幾度も訪れている。しかし、高知城へは一度も足を踏み入れたことがなかったのだ。駅から路面電車で行ってもいいが、今回は歩いていく。

駅から歩くこと、約20分。ようやく、高知城の麓に到着。奥さんがいないおかげで、いつもよりハイペースで歩けるので、時間が有効活用できる。(と、家で言ったら、怒られた・・・)

高知城の麓に到着

高知城の麓に到着

高知の街並みが一望できる高知城天守閣

息を切らしながら、城山を登る。そして、入城料400円を払って、城の中に入る。大阪城のようなエレベーターのある近代的な城もある中、ここ高知城は予想以上に昔ながらの面影を残す本格的な城。

国宝の彦根城のような急な階段が続く。特に、ゴールデンウィーク真っただ中とあり、観光客も多く、階段は上り下りともに、大行列だ。一部の階段は、幅が狭いため、交互の一方通行になっている。

高知城

高知城

そして、天守閣まで登りきると、高知の街並みが広がる。

高知の街並みが広がる

高知の街並みが広がる

龍馬が生まれた場所へ

高知城を後にして、坂本龍馬誕生地へテクテク歩く。誕生地といっても、立派な生家があるわけでない。病院の隣に、ひっそりと記念碑が建っているだけだ。

しかしながら、男前の龍馬だけに女性ファンが多いのか、次から次へと若い女性がやってきて、写真を撮っていく。

龍馬生誕地の碑

龍馬生誕地の碑

そして、次は、誕生地のすぐ近くにある「龍馬の生まれたまち記念館」へ。入館料300円を払って、館内を見学。2F建ての建物の展示は、龍馬づくし。久しぶりに、龍馬伝が見たくなってくる。

「龍馬の生まれたまち記念館」

「龍馬の生まれたまち記念館」

記念館を出た後は、「これでもか!?」と龍馬伝尽くしということで、5分ほど歩いたところにある近藤長次郎邸跡へ。長次郎は龍馬と少年時代から行動を共にした人物だ。こちらも龍馬と同じく、家の跡はなく、歩道の片隅に碑が建っているだけだ。

歩道にひっそりと建つ「近藤長次郎邸跡」

歩道にひっそりと建つ「近藤長次郎邸跡」

昼食は高知名物「焼さば寿司&カツオのタタキ」

時刻は12時半過ぎ。朝からレンタサイクルをしたり、歩いたりと、お腹がペコペコ。今日のお昼ご飯は、もう心の中では決まっていた。それは鯖寿司だ。

というのも、2007年に高知へ訪れた時に「ひろめ市場」で食べた鯖寿司、それはこれまでの人生で食べてきた鯖寿司を全否定するものだったのだ。
『「バースデイきっぷ」で行くJR四国グリーン車旅行記』参照

「ひろめ市場」

「ひろめ市場」

そんな鯖寿司をもう一度食べるべく、「ひろめ市場」へ向かう。「ひろめ市場」商店街の一角にあり、飲食店や土産物屋さんが並ぶ。

前回と同じく、商店街側の入り口にあるお店で、焼さば寿司(850円)、カツオのたたき(500円)を購入する。焼さば寿司は、ハーフサイズもあったが、どうせなら焼いたサバが丸ごと乗った1本で食べたい。お腹もペコペコだし、勢いで買ってしまう。

焼さば寿司(850円)とカツオのタタキ(500円)

焼さば寿司(850円)とカツオのタタキ(500円)

市場の中に飲食スペースがある。しかし、さすがはゴールデンウィーク、テーブル難民でいっぱいだ。人が多いせいで、かなり蒸し暑く、早々に退散。

市場から歩いて5分ほど、高知城の麓にある公園でベンチをゲットし、外でまったりとランチタイムとする。焼さば寿司は、ギュっと固めた酢飯の上に、丸ごと一本の焼サバが豪快に乗っている。サバの身の厚みもなかなかのモノ。そして、カツオのタタキは、一緒に添えられていたポン酢と塩を交互に付けて食べる。

しかし・・・、何気なく買った焼さば寿司とカツオのタタキは、相当なボリュームだった。ギュっと固めた酢飯は予想以上にヘビー。いつもは夫婦二人旅だが、今日は一人旅。いつもの感覚で買ってしまったのが仇となってしまう。食べ物を残すのは主義に反するので、最後の方は無理やり口に押し込むように食べた。

意外とガッカリしなくなった「はりまや橋」

今朝、高知に到着したばかりだが、奥さんは夜には実家から戻ってくるので、約10時間ほどの滞在だけだったが、夕方の高速バスでとんぼ返りだ。

バスが出るまでの時間つぶしに、世に言う「日本三大ガッカリ観光地」の一つ、はりまや橋まで歩いてみる。実は、はじめて訪れた時は、その名のとおり、僕自身も相当がっかりしたものだ。しかし、二度目以降は期待をしないせいか、「意外とそれなりの観光地じゃないか!?」と思うようになった。期待しないことも生きていく上では大事なことなのだ。

期待しないとガッカリしなくなる「はりまや橋」

期待しないとガッカリしなくなる「はりまや橋」

次に訪れたのは、はりまや橋から徒歩5分ぐらいのところにある「よさこい情報交流館」。4月にオープンしたところだそうで、高知を代表するお祭りであるよさこいに関する展示や体験コーナーもある。入館は無料だ。

よさこい情報交流館

よさこい情報交流館

帰省ラッシュに巻き込まれた、帰りの高速バス

高知駅(15:40)→大阪駅高速BT(21:50) 【バス】高知エクスプレス16号

駅へ戻る途中、ポツポツと雨が降り出してきた。後は、大阪行の高速バスに乗って帰るだけなので、雨も気にならない。高知駅の構内で奥さんへのお土産に、目の前で煎っている、いもけんぴを買う。

帰りのバスは、高知駅前15:40発の西日本JRバス「高知エクスプレス16号」だ。往路と違い、まだまだ空席があり、窓側をゲットできた。

高知駅の頭上には黒い雲が!?

高知駅の頭上には黒い雲が!?

昼行便の夜行便との違いは、スリッパとブランケットがないだけ。座席は3列独立リクライニングシート。バスは定刻に出発し、高速道路に乗り、快調に進んでいく。心地がよく、バスの揺れに身を任せ、居眠りする。

目を覚ませば、バスは鳴門大橋に渡っており、遠くに沈む夕日がとてもキレイだ。

ゆったりとした独立3列シート

ゆったりとした独立3列シート

鳴門大橋から見た夕日

鳴門大橋から見た夕日

淡路島に入り、淡路SAの手前あたりで、バスの足は見事にスローダウン。ゴールデンウィークの帰省ラッシュの真っただ中に突っ込んでしまったのだ。

その後、バスはトロトロ走ったり、今まで通ったことがないような道へ迂回しながら、大阪駅JR高速BTには定刻から約50分遅れの21:50に到着した。

こうして、久しぶりの一人旅、そして、高知への弾丸旅行は幕を閉じた。

[エピローグ] 人生の旅の章

これまでの旅を章立てにするならば、第1章が学生時代。

一人旅、時には友人との二人旅を中心に、なけなしのお金を駆使しながら貧乏旅行を楽しむステージでした。そして、大学卒業、つまり、第1章の終わりが告げられた時、旅の物語はストップしてしまうと思っていました。

しかし、社会人になった後も、旅に出れるような環境に恵まれ、第2章がはじまりました。

そこからが奥さんとの夫婦旅です。勤めだして金銭的にも少し余裕ができ、時には貧乏旅、時には豪華旅、北海道から沖縄まで、毎年のように駆け巡ってきました。

そして、この春。我が家に飛び込んできた嬉しい話題、新しい命の芽生え。これは、第2章の終わりを告げることになりそうです。

さて、次なる第3章。それは、きっと家族3人でのファミリー旅行になるのかなと思っています。いわゆる、子連れ旅行記ってヤツです。ただ、首も座らない子を旅に連れ出すわけにもいかず、第3章に入るまで、しばし時間がかかりそうです。

第3章の形がどのようになるのか、まだ想像もつきません。第3章が始まれば、このサイトで、旅の記録を記していきたいと思います。

[追伸]
現時点では妊娠初期ですが、もうすぐ安定期。第2章は、まだもう少し続くことでしょう・・・。

(終わり)


[旅行記に出てくる地域近辺の宿かも?]