JALのサイトを眺めていると、特典航空券のマイル割引キャンペーン「JMB国内線特典航空券 ふたりから!おとくdeマイルキャンペーン」を発見した。通常よりも大幅に少ないマイルで航空券と交換できるキャンペーンだ。
3月といえば、暦でいうところの春。こうなれば、旅に出るしかない。
以前からずっと行きたかった奄美大島を旅の目的地に選んだ。奄美大島といえば、今年の夏に皆既日食を迎えることで盛り上がっている島。皆既日食は見れないけど、そんな注目の島へ行きたくなった。
まずは、「楽天トラベル」でホテルを予約。そして、後は往復のエアを確保するのみ。
しかし…、これがなかなかの難関。毎日のようにJALのサイトで空席照会をしても、やっぱり満席。そして、特典航空券の販売終了日、つまり、出発日の4日前になっても、やっぱり空きは出なかった。
会社の休暇も申請済なので、今日中にエアを予約してしまわないといけない。そんなわけで、大阪から空席がある路線を片っ端から空席照会をしてみると、伊丹〜長崎間に空席があるのを見つけた。
早速、奄美大島のランド(宿)をキャンセルし、長崎便を予約する。今回は1人あたり往復8000マイル、2人で往復16000マイルでタダ乗りできるのだ。
長崎の春といえば、ハウステンボスのチューリップ。正月に行ったところだが、年間パスポート「ファミリエ」も持っているので、チューリップを見にいくのも悪くない。また、長崎へ頻繁に足を運んでいるが、ハウステンボスだけで帰ってくることが多く、今回は長崎市内へ足を延ばしてみることにした。長崎市内を訪れるのは、ほぼ9年ぶりとなる。
加えて、今注目の廃墟の島「軍艦島」、そして、以前から興味があったキリシタンの街「平戸」を訪ねる旅に出た。
伊丹空港(7:50)→長崎空港(9:10) 【飛行機】JAL 2371便
長崎へ飛行機で向かう時は、いつも早起き。家を6時前に家を出て、伊丹空港へと向かう。
今回搭乗するのは、長崎へ飛行機で向かう時には常連となった、伊丹空港7:50発のJAL2371便。機体はMD90型と呼ばれるもので、2+3列シート。
伊丹での搭乗はボーディングブリッジからではなく、地上からテクテクと歩いて乗る。
長崎へ向かうJAL2371便
あいにくの雨。そういえば、昨年5月の長崎行きの時も、同じように傘を差して搭乗した記憶がある。その時期は梅雨なのでまだしも、今回は3月。気候的にはいいと思いがちなのだが、意外と3月前半というのは今までの経験からクセものな季節なのだ。というのも、3月前半はまだ冬から春への季節の変わり目でもあり、天気が不安定なことが多い。
「春一番」という言葉は非常に象徴的で、この季節は時折強風が吹き荒れることも多く、ひどい場合は雪混じりなんてことも珍しくない。
早起きしたので、機内では熟睡状態。奥さんはドリンクももらわず、ひたすらグースカ…。
降り立った長崎もやはり雨。さらに、大雨・洪水注意報まで出る始末。
今宵の宿は、平戸。長崎空港から佐世保を経由して、平戸で向かう、バス旅。今日だけでなく、明日、明後日の行程でもバスを利用することが多い。そこで、事前にネットでオトクな情報がないかリサーチ。
そこで見つけたのが、「長崎スマートカード」。いわゆる流行りのICカード。
乗車の度に小銭を用意しなくていいメリットは当然のことながら、このカードにはいくつかの特典がある。一つが長崎県内の指定バス会社に限られるが、同一停留所で30分以内に乗り継ぎを行うと、乗り継ぎ前後のバス代が5%引きとなる。また、残高が減ってきて、積み増し(チャージ)をすると、10%のプレミアがつくだけでなく、前回の積み増しからの利用分の1%がプレミアとして付く。おまけに、JR西日本のICOCAなどで導入されているデポジット制(保証金制度)でない。そんなオトクなカード。
長崎空港のインフォメーションカウンタでスマートカードを購入できないか聞いてみたところ、カードの名前すら聞いたことがない模様。ましてや、発売なんて…といった感じ。
そこで、佐世保行きのバスの運転手さんに「長崎スマートカード」を車内で購入できないか聞いてみると、すごくイヤな雰囲気で「買える」との返事が…。
実際に購入してみて、運転手が嫌がった理由が分かった。新規ICカードを取り出し、運賃収受箱にチャージ金額を入力し、1000円札を1枚ずつ入れていかなければならないのだ。奥さんの分と含めて、2枚のICカードなので、6回繰り返すことになる。
無事にカードは購入できたとはいえ、降り立った長崎のしょっぱなで受けたイヤな対応は、この天気の悪さと重なり、ブルーな気分・・・
無事ゲットした「長崎スマートカード」
長崎空港(9:45)→佐世保バスターミナル(11:20頃?) 【バス】空港リムジンバス(西肥バス)
長崎空港を9:45に発車したバスは、雨の中、佐世保を目指す。ハウステンボスに到着する頃には、土砂降り。こんな中、ハウステンボスで下車していく家族連れを少し不憫に思う。
ハウステンボスから佐世保市内に向かう途中、渋滞に少しあったため、定刻より遅れて、佐世保バスターミナルに到着。
佐世保バスターミナル(11:40)→平戸桟橋(13:03) 【バス】西肥バス(特急バス)
佐世保バスターミナルは、ひっきりなしにバスがやってきては、出て行く。都心(むしろ都心の郊外)ではバス離れが進むが、ここではまだまだバスは現役だ。
ここから再びバスに乗り、平戸を目指す。佐世保〜平戸は1時間半弱の長距離路線にもかかわらず、30分に1本に頻度で走る。並行して松浦鉄道もあるのだが、この便数にちょっとビックリ。トイレで用を済ませた後、スマートカードの積み増しを窓口で済ませ、佐世保バスターミナル11:40の平戸桟橋行き特急バスに乗車。
車内は半分以上の席が埋まっている。降りしきる雨だけが、心をモヤモヤさせる。バスに揺られ、ウトウトしてくる。目を覚ましたときには、晴れているといいなと思いつつ、夢の中へ…。
佐世保バスターミナルを出発!
赤い大きな橋、平戸大橋を渡ると、いよいよ平戸へ突入。そして、平戸桟橋に到着(13:03着)。
鉄道はないが、看板は「平戸駅」
バスで眠りに着く前に祈った天気はあいかわらずどんより。しかしながら、傘がなくても歩ける程度の小雨になったのは幸いだった。
時間は13時すぎ。お昼どきを超えてしまい、お腹のムシも鳴く時刻。平戸桟橋バスターミナルのすぐ前にある、小さな食堂「さんばし」に入ってみる。
味のある(?)食堂「さんばし」
お店はお世辞にも新しいとはいえない、昔ながらの食堂。お客さんは誰もいないのに、店員さんは3〜4人いる模様。暇なのか、テレビをみんなで見ている。なんだか、客として店に入るのが悪くなってくるような雰囲気だ。
少し奮発して、海鮮チャンポン(750円)を注文。長崎ちゃんぽんならぬ、平戸ちゃんぽんらしい…。ダシはアゴ(トビウオのことらしい)で取ったちゃんぽんはあっさりとした透き通ったスープが特徴。たっぷりの野菜、豚肉、いか、えび、きくらげ、あさり、エビなどなど、具沢山。
海鮮ちゃんぽん(750円)
奥さん曰く、「家では、こんなに具が集められない!」と…。
ちなみに、普通の「ちゃんぽん」と「海鮮ちゃんぽん」の違いは、エビだけの違いのようだ。これだけ具沢山ならば、普通の「ちゃんぽん」でも十分に満足できるかもしれない。
今晩宿泊する「井元旅館」は、この食堂のある平戸桟橋バスターミナルからすぐ。チェックインまでは時間があるが、荷物だけ預かってもらい、平戸の街の散策を開始する。
1階は食堂を経営する「井元旅館」
雨の中、まずは目指すところは、「聖フランシスコ・ザビエル教会」。平戸のガイドブックやポスターには、必ず登場するといってもいいほどの有名どころ。
桟橋から空を見上げると、小高い山の上に聳え立つ教会がまさしくそれだ。長崎と同じく、平戸も坂が多い街。息を切らしながら、階段をひたすら登っていく。
気が遠くなるような階段
ようやくたどり着いた教会は、まるで映画のロケのようだ。教会の中は、玄関を入ってすぐの柵までは入ることができ、建物内部を観ることができる。
観光客もほとんどいない本格的な造りの教会は、とても静まりかえり、厳粛な空気が漂う。結婚式場にあるなんちゃって教会とは全く違う、重々しい威厳を感じる。しばしの間、奥さんとしゃべることなく、この空間に身をゆだねていると、まるで威厳ある雰囲気に吸い込まれていくようだった。
威厳を感じさせる「聖フランシスコ・ザビエル教会」
本来、ここから見渡す平戸の街はとてもキレイなのかもしれないが、あいにくのどんより天気で、せっかくの景色もイマイチ…。
平戸観光のもう一つの目玉が「寺院と教会の見える風景」。ここも平戸の観光ポスターでは定番スポットだ。
ザビエル教会から街の方へ階段を下ると、寺があり、その寺とザビエル教会が同時に見え、平戸の和洋文化融合を見せる特徴ある風景を生み出している。
しかし、やってきた日が悪かったようだ。奥さん曰く、「寺と教会が一緒に見えるだけ? ふ〜ん」と…。
確かに、寺と教会が一緒に見えるだけで、それ以上でも、それ以下でもない。そこで、観光パンフレットとデジカメ写真を見比べてみたが、決定的な違いが一つあった。
そう、答えは「天気」。あいにくのどんより雲は、せっかくの風景を台無しにしてしまうのだ。雨も情緒があっていいといった慰めもあるが、やっぱり旅の最高のスパイスは、お日様に限る。そして、元気な体だ。
なんだか微妙な「寺院と教会の見える風景」
次に向かったのは、「常燈の鼻」。いわゆる、燈篭。しかしながら、海辺にちょこんと建っているだけで、それ以上でも、それ以下でもない。
鞆の浦にある灯篭と似ている「常燈の鼻」
さらに、その横にあった「オランダ井戸」。これまた、道端にある単なる井戸にしか見えない。奥さんと顔を見合わせ・・・(無言)。
道端にある単なる井戸にしか見えない「オランダ井戸」
「オランダ塀」と呼ばれる階段を登り、小高い丘の展望台へたどりつく。この丘からは、平戸の港を見渡すことができるが、やっぱり天気がねぇ・・・。
「オランダ塀」と呼ばれる階段
天気がよければ、きっと絶景なのかな?
丘から再び港へ戻り、商店街を散策する。知らない街の商店街を何気なく歩くのは、意外と楽しい。
体も冷えてきた頃、一軒のケーキ屋さん「熊屋」を発見。しばし、ティーブレイク。小さなケーキ屋さんだけど、店の片隅に小さなイートインスペースがあり、ケーキセット(好きなケーキ1個とドリンク)を480円で楽しむことができる。
コーヒーはすごく小さいカップで物足りなかったけど、モンブランは美味。ほっこりした時間が過ぎていく・・・
洋菓子工房「熊屋」
ケーキセット(480円)
16時を過ぎたので、荷物を先に預けておいた今宵の宿「井元旅館」へ戻り、チェックインする。今回は「楽天トラベル」で予約。1泊素泊まり 7350円(2人分)だ。
宿泊予約サイトの口コミ情報の評判どおり、とても愛想のいいおばちゃんに迎えられ、2階の客室へ案内される。
部屋は小さめだが、最近改装したのか、内装もキレイで清潔感にあふれる和室。布団はすでに敷かれているのが、湯快リゾートっぽい。テレビはブラウン管タイプでちょっと小さめだ。
旅館の中にもお風呂はあり、家族風呂(貸切)として利用もできるが、近隣ホテルのお風呂に400円で入浴できる割引券をもらったので、外へ出かけることにする。4つのホテルから選択することができるが、今回は井元旅館のある場所から少し高台に登ったところにそびえたつ「国際観光ホテル 旗松亭」を目指す。歩いても10分もかからない場所だ。
宿でもらった入浴割引券
「国際観光ホテル 旗松亭」の玄関
「国際観光ホテル 旗松亭」のフロントで割引券を渡し、入浴料(400円)を支払う。バスタオルは付いていないらしく、小さなタオルのみ。フロントの対応はというと、外来客には冷たいのか、あまりいい対応できはなかった。
大浴場の案内を受けて、いざ風呂へ行ってみたものの、入浴割引券に印刷されていた露天風呂ではなく、内風呂のみ。どうやら、露天風呂は別のフロアにあるようだが、全く案内してくれなかった。内風呂はホテルの中でも最上階に位置し、とても眺めがいいのだが、やはり展望露天風呂を期待していただけに、ガックリ…。
女風呂には、顔の角質取りや洗顔クリームが置いてあったそうだが、男風呂にはなし。高そうな雰囲気のホテルにしては、びみょーなところ。ペラペラのタオルでは、体はともかく、髪の毛までは乾かない。困りながら、奥さんとの待ち合わせ場所の足湯コーナーに行ってみると、足拭き用に積み上げてあるタオルを発見。申し訳ないが、2枚ほど拝借して、それで頭を乾かした。
なかなか風呂から出てこない奥さんを待っている間、足湯を楽しもうとしたが、水面に変な浮遊物がゆらり〜ゆらり〜。結局、足をつけるのは止めておいた。
足湯コーナー
ホテルから出る時の対応もなんだかいまいち。そこそこお高いホテルだけど、この雰囲気を見てると、高いお金を出して宿泊するのは微妙かな…!?
再び今宵の宿へ戻り、夕飯処を探しに出かけたが、なかなかいいお店が見つからないし、お腹も減ってくる。
宿の夕食は予約してなかったが、「1階の食堂で食事はできないか?」と聞いてみると、「生モノはないけど、通常メニューならできますよ!」との返事が…。
くつろげる1階の食堂
そんなわけで、結局は宿で夕食をとることにする。メニューのラインナップは、極めてリーズナブルな定食ばかり。僕はから揚げ定食(790円?)、奥さんはアジフライ定食(750円?)を注文する。
これで大正解。たっぷりのご飯、白味噌仕立てのおいしい味噌汁、野菜、豆腐、そして、メインのおかずが並び、値段の割にもボリューム満点。
奥さん曰く、「このアジフライ、スーパーのお惣菜と全然違っておいしい!」と…。
ボリューム満点の定食
食後は、宿から歩いて2分のコンビニ「デイリーヤマザキ」でお菓子を調達して、1日目の旅は終わった。
井元旅館(いのもとりょかん)
(859-5104 平戸市崎方町873)平戸港の目の前に位置する家庭的な宿。平戸市内中心部にありビジネス滞在や観光拠点に便利。