沖縄旅行から1ヶ月を経て、もうすぐ年末。日に日に冬らしくなる気候に触発されたのか、温泉を訪ねる旅に出たくなった。
とはいっても、たった1ヶ月前に1週間の沖縄旅行へいったばかり。旅で贅沢ばかりはしてられない。格安の宿でイメージするのが、やっぱり『湯快リゾート』。新聞やテレビCMで有名になった、1泊2食7800円がウリのホテル。そんなわけで、湯快リゾートの
ホームページをのぞいてみた。
関西人が思い浮かべる温泉といえば、北陸や山陰のイメージが強い。湯快リゾートグループのホテルラインナップには、もちろん北陸もある。そんなわけで、北陸のホテルを片っ端から空席照会するのだが、あいにくどこもかしこも週末は満室。さすが人気の湯快リゾート。
北陸を諦め、タメ元で白浜に目を向けてみると、白浜にある「ホテル千畳」はナント空室あり。白浜といえば、アドベンチャーワールド。アドベンチャーワールドといえば、最近パンダの赤ちゃんが産まれて話題になったばかり。こうなれば、予約するほかない!
いくつかあったプランから選択したのは、「アドベンチャーファミリープラン」。1泊2食に加えて、ランクアップルーム(通常2000円)とアドベンチャーワールド入場券(通常3800円)がセットになって、11200円(通常13600円)。これで宿は決定した。
次はアクセスだ。湯快リゾートではホテル専用往復バスを大阪や京都から各ホテルまで運行している。今回のホテル千畳も例外なく、大阪から往復3000円の格安バスを運行している。値段的には一番安いアクセス手段なのだが、往路は朝発で15時頃にホテル到着、復路は15時出発で夜に到着。これはこれで便利なのだが、どうしても観光できる時間が少なくなり、ホテルへ泊まるだけの旅になってしまう。
そこで、代替案として考えたのが、往路は西日本JRバスの高速バス(片道2700円)、復路は18きっぷ(2300円)の旅。こうすれば、往路は昼前にホテル到着、復路は19時頃に白浜を出ればその日のうちに大阪へ辿り着ける。
旅の準備は万端。そして、当日を迎えた。
大阪駅桜橋口(7:50)→白浜バスセンター(11:20) 【バス】白浜エクスプレス大阪号(西日本JRバス)
当初、往路も青春18きっぷにしようと思ったが、平日の朝は大阪から和歌山まで切り抜けるのが意外と大変。通勤ダイヤになっているせいで、人は多いし、所要時間は休日よりも長い。乗り継ぎもうまくいかない関係もあって、今回は高速バス。
高速バスの出発地である、大阪駅桜橋口高速バス乗り場を目指す。桜橋口改札口のすぐ目の前にある。
今回乗車する、7:50発のバスが発車10分ぐらい前にやってくる。西日本JRバスと白浜を拠点とする明光バス共同運行だが、今回の便は西日本JRバスの車両だ。トイレ付きの4列シート。4列ながらも座席ピッチは観光バスと比較すると、若干余裕がある。
乗車券は事前に「高速バスネット」で予約。このサイト経由で予約すると、片道2700円から2%引となり、2650円となる。さらに、予約時にウェブで座席表から好きな座席を選択でき、クレジットカード決済ならば、当日は自宅のプリンタで印刷した乗車票とクレジットカードを運転手さんに見せるだけだ。
東西各方面へのバスが出発する高速バス乗り場
桜橋口高速バス乗り場の3番から出発する
定刻に出発したバスは、途中の湊町バスターミナルで客を乗せ、順調に南へと進む。奥さんが作ってきたホットドックときな粉パンで朝食タイム。そして、気がつけば、ぐっすりと熟睡。
約1時間ほど走り、紀ノ川サービスエリアで休憩タイム。トイレに行った後、お土産物屋さんを物色。みかんの名産品など興味深いものもあったが、まだまだ旅は始まったばかり、見ているだけでガマン。
サービスエリアは小高いところにあり、眺めがよい
サービスエリアで休憩中のバス
みなぺ役場前で停車した後は、田辺など小刻みにバス停に止まり、どんどん客を降ろしていく。
さて、白浜地域もいくつかのバス停があり、どのバス停で降りるかを考えないといけない。基本的に、大阪駅→とれとれ市場前〜アドベンチャーワールドまでは同一運賃なので、どこで降りてもよさそうだ。
魅力的な名前のとれとれ市場前でもよかったが、ここは無難にスタンダードな白浜温泉街の中心である「白浜バスセンター」で降りることにした(11:20着)。
平日の午前中とあってか、人は少なく、静まりかえっている。まずは海の方を目指すと、程なく有名な「白良浜」にたどり着く。
白浜といえば、駅前をぶらぶらしたことはあるが、本格的に観光するのは今回がはじめて。写真で幾度も見たことのある「白良浜」は名前のとおり、本当に白い砂が広がっている。天気がよく、海と白い砂に反射して、とってもまぶしい。
白い砂が広がる「白良浜」
冬とは思えない暖かさ
今日は快晴、雲ひとつない青空だ!
そろそろお昼どき。昼食を食べれそうなお店を求めて、周辺の店をブラブラとのぞいてみる。せっかく南紀へ来たのだから、やはり海の幸が食べたい。しかし、どの店もメニューはカレーにラーメン…。大阪で食べられるものばかり…。
食事処を求めて、今宵の宿がある三段壁方面へ海沿いを歩きながら、探すことにする。しかし、歩けど歩けど、目ぼしいお店はなし…。気がつけば、歩き始めて30分弱、とうとうホテル千畳へたどりついてしまった。
白良浜から三段壁へ向かう道
ホテルを通り越し、さらに三段壁の方に歩くと、ちょっとした軽食が食べれそうな喫茶店を発見。もう少し歩いて何もなければ、この店にしようと決めた時に、「三段壁みやげセンター」の看板に書かれた「マグロ」の文字を発見。外見からは良し悪しは分からないが、一か八で店に突入!
僕は「マグロ中落ち丼+梅うどんセット(1000円)」、奥さんは「マグロ中落ち丼(700円)」を注文。
ボリューム満点の「マグロ中落ち丼+梅うどんセット(1000円)
これが予想以上にアタリ。奥さんのうどんが付いていない「マグロ中落ち丼」だけでも、それなりのボリュームのマグロがのった丼に、小鉢、そしてやっぱり南紀名物の梅干が付いている。さらに、プラムのスイーツもサービス。甘く漬けられたプラムは、まさしくおやつ。1階のお土産物売り場では、200円ぐらいで売られている。僕ののセットに付いていた梅うどんもほのかに梅の香りが漂い、今まで食べたことのないうどんだった。
店を出て、再び戻って白良浜の方へ5分ほど歩き、ちょっと早めに「湯快リゾート ホテル千畳」へチェックイン。
「湯快リゾート ホテル千畳」
湯快リゾートのシステムでは、チェックインはお部屋が出来次第。フロントでチェックインできるか聞いてみると、「お部屋の用意ができております」との返事が…。
部屋までの案内はなく、館内地図の紙を渡され、自分で荷物を持って移動する。今回はランクアップの部屋だけあって、指定されたフロアは最上階の6階にある和室。
部屋に入ると、既に布団が敷かれている。これも湯快リゾートスタイル。部屋は通常の和室に加え、窓側にソファと小上がりの和室スペースもある。また、冷蔵庫完備もポイントが高い。
既に敷かれている布団
小上がりの和室スペース
ソファもある
机の上にはお菓子が三種類。部屋はめちゃくちゃ豪勢なわけでもないが、ボロいわけでもない。品質は休暇村レベルといったところ。洗面所、風呂、バスはそれぞれ別。風呂はユニットバスでなく、洗い場もあるが、大浴場(温泉)があるので、わざわざ部屋の風呂を使うこともないだろう…。
お菓子は三種類♪
洗面台はけっこう広々している
洗い場もあるお風呂
最上階だけあって、部屋からの眺めもなかなかサイコー♪
部屋からの眺め
湯快リゾートは、廃業しかけのホテルを買い取り、そのホテルをリニューアルオープンさせ、復活させているのだ。そして、少しずつ規模を拡大している。このホテルも例にもれず、リニューアルされているものの、素地は古いホテルであることを感じさせる部分もある。
いざ、館内散策。まずは、マンガコーナーへ。湯快リゾートの宿には必ずあるコーナーだ。和室スペースに並ぶマンガ、下呂彩朝楽と比べると、ちょっと冊数は少なめ。おまけに、同じシリーズのマンガが並んでおらず、バラバラに並べられているので、探すのが大変…。
誰かのいたずらなのか、それとも、マナーの悪い客のせいなのか…?
和室の小上がりにマンガが並ぶ
マンガコーナーの横には、ゲームセンター、カラオケ、卓球コーナー、マッサージコーナーが並ぶ。
卓球コーナー
次は中庭へ。プールもあるが、今はシーズンオフ。冬のプールはゴミも浮いていて、ちょっと汚らしい…。
プールのある中庭から眺めるホテル
中庭の下には海が望める露天風呂
夕食まで少し時間があるので、歩いて10分ほどの三段壁までお散歩♪
ホテルから三段壁への道
東尋坊と並ぶ自殺の名所「三段壁」。崖っぷちを楽しむ前に、まずは「三段壁洞窟」へ。通常1200円だが、ホテルに置いてあった割引券を使えば、980円
三段壁洞窟の入口
入口で入場券を購入し、エレベータに乗って、地下へ。案内してくれたエレベータガールのおねえさんはなんとも無愛想。エレベーターを降りると、なぜかカメラを首に引っさげたおばさんに誘導され、いきなり記念撮影。最近こういった商売が多いが、どうも感じがよくない。こんな売り方をされると、むしろ絶対買うものかと思ってしまうのは、僕だけだろうか…?
ところで、三段壁洞窟の見所は、三段壁の直下には海とつながる洞窟。その洞窟を観光することができる。それほど広くはなく、見所はしれているが、やはりメインは洞窟に勢いよく流れ込む海水だ。
単に海水が流れ込むわけでなく、太平洋の大波に乗り、洞窟に勢いよく流れ込む海水は洞窟の行き止まりの壁にぶちあたり、水しぶきと共に、轟音を奏でるのだ。その迫力は相当なもの。
まるで波しぶきが生き物のように見え、しばらく見とれていた。
洞窟の中から太平洋を眺める
海側から洞窟の入口をみる
洞窟の中へ進入してくる波
洞窟奥の壁にぶちあたり、大きな水しぶきと轟音を上げる
総じていうならば、お土産に絵はがき(使いようがない白浜のデザイン)をもらったが、980円でもちょっとお高め感があった。
下から三段壁を眺めた後は、やはり上から眺めなくては…。
天気もいいので、岩場をイスにして、まったり〜。だけど、あまり暗い顔をしていると、自殺をためらっているカップルに見られても困るので、和気あいあいとおしゃべりタイム。
上から眺めると、こんな感じ…
ごつごつした岩場は東尋坊と似ている
そこへ団体客を引き連れたガイドさん(ボランティアかな?)が登場。聞き耳を立ててきいてみると、ここから年に数人はダイブされているとか…。落ちた人のたいがいは海面にぶつかって死ぬのではなく、落ちる過程で岩場にぶつかってしまうそうな。
岩場に打たれた鉄のわっか。何かと思えば、ダイブされた方を救助する際にロープをくくりつけるためにあるのだとか…。いのちの電話と書かれた看板も生々しい。この看板に大きな欠陥が一つある。それは、電話番号に市外局番がないこと。今の時代、たいがいは携帯電話を持っている。まさか自殺をためらっている人がわざわざ公衆電話まで行くのもナンセンス。それに気づいた親切の人がいるのか、看板にわざわざ手書きのマジックで市外局番が落書きされていた。
市外局番の書いていない「いのちの電話」看板
救助用ロープをひっかける鉄輪
16時前、日も少しずつ低くなってきたので、歩いてホテルへ戻る。
太平洋は包容力を感じさせる海だ!
ホテルへ戻り、まずは大浴場へ。浴槽が3つもある広いお風呂。洗い場も多いので、のんびりすることができた。ただ、洗い場がちょっと寒かったかも…。
大浴場の次は露天風呂。たいがい、大浴場内に露天風呂へ通じる出入口があり、露天風呂へはすぐに行けるところも多いが、このホテルはその対極にある良くないパターン。いわゆる、後から無理やり作った露天風呂のようで、まずは大浴場を出て、いったん浴衣を羽織る。そして、長い廊下を突き進み、ドアを開いてみると、ナント非常階段…。この階段をひたすら降りて少し歩くと、ようやく更衣室に到着。
本当に着替えるスペースだけの更衣室を出ると、そこはいきなりこじんまりした露天風呂。洗い場もなく、声を出す出さないにかかわらず、ここへやってきた人の一声は「これだけか…」(声に出したおじさんを5人ぐらい見た)。
欠点ばかりを並べたが、源泉かけ流しの風呂だ。おまけに、目の前の太平洋に沈みゆく夕日はとってもキレイだった!
湯快リゾートは、朝夕共にバイキング形式。繁忙期は時間制限があるようだが、今日は特に時間制限はないとチェックインの時に案内された。
広々としたレストランはかなりの人数が収容できそうな広さ。カニ食べ放題コース(追加料金要)の宿泊客は一部エリアに固められ、指定席になっているが、それ以外は自由席。
メニューは、寿司のほかに、お造り・天ぷら・明太子パスタ・から揚げなどが並ぶ。南紀らしい食材はほとんどなく、マグロやウメもごくごく一般的な品質、もしくはスーパーレベル。
以前、下呂彩朝楽に宿泊した際、たいしたレベルではなかったので、期待はしていなかったが、やっぱり期待しなくてよかった…。レベル的には街中にある、1500〜2000円のバイキングといったところ。
ごくごく一般的なお寿司(100円回転寿司レベル)
和洋中の料理もごくごく一般的な味
レストランの帰りにふと立ち寄ったマンガコーナー。それほど長居するつもりはなかったが、気がつけば、夫婦そろって三時間もマンガを読みいってしまった…。
本当ならば、白良浜で開催中のイルミネーションを見にいく予定だったのに…。結局、マンガを読み、無料のマッサージ機で体をほぐした後、夢の世界へ…。
明日はいよいよ楽しみにしていたパンタの赤ちゃんだ!