今年も北海道シーズンが到来。特に猛暑となった関西、こうなれば目指す先は北海道しかない。
昨年から改悪されてしまった、JR北海道乗り放題の「北海道フリーパス」。改悪されたといえ、やはり魅力的な切符であることは否定できない。今年も購入するのは、グリーン車用。以前は、有効期限(7日間)はグリーン車&B寝台に乗り放題だったが、現在は6回分のみ。それ以外は自由席の利用となるが、特急は乗り放題だ。
折りしも今年は「寝台特急 まりも」の最後の年。「オホーツク」「利尻」「ミッドナイト」など、大学時代にお世話になった道内寝台列車はどんどん姿を消していき、道内完結の最後の寝台特急となった「まりも」も8月31日がラストランとなる。そんな「まりも」に別れを告げるのも今回の旅の目的だ。
北海道に初めて訪れたのは、今から約12年前。ほぼ毎年訪れていると、行くところにもネタが尽きてしまうものだ。ということで、今年はちょっとマニアックな観光地も踏まえた計画を立て、旅の当日を迎えた。
例年の旅の始まりは、会社で仕事を終え、定時ダッシュで向かう「舞鶴フェリーターミナル」で迎える。
しかし、今年は違う。今年は、関西空港に立っていた。
例年お世話になっている、関西〜北海道を結ぶ「新日本海フェリー」。物価高騰、そして原油価格上昇の影響をモロに受け、フェリー運賃はかなり高くなってしまった。さらに、舞鶴までのバス代を考えると、片道で13000円/人程度。夫婦二人で往復となれば、約50000円。ここまで高くなってしまうと、2等のゴロ寝で時間をかけて行くことも躊躇せざるを得ない。
そこで、候補となったのが、飛行機。
もちろん飛行機も原油価格上昇の影響を受けているわけだが、国内は比較的影響が少ない。さらに、クレジットカードで貯めたマイルを使って、JALの「おとも de マイル」を使えば、夫婦二人 関西〜新千歳往復で「10000マイル + 25000円」でいけるわけで、意外とオトクなのだ。
フェリーの独特の雰囲気も好きだが、今回は少し後ろ髪を引かれつつ、空の旅とすることにした。
関西空港(10:40)→新千歳空港(12:30) 【飛行機】JAL 2505便
リムジンバスで関西空港に到着。早速チェックインを行い、窓側寄りの2席を確保する。いつものことながら、広い割に閑散とした空港だ。やっぱり伊丹と比べると、ちょっと不便。しかしながら、毎度のこと、外国人が多いのは国際空港ならでは…。
閑散とした関西空港
搭乗予定である、新千歳空港行JAL 2505便の機材は、B767-400。大きさでいえば、中型機といったところ。少し空席を残したまま、ほぼ定刻10:40にテイクオフ!
新千歳空港へ向けて出発する、JAL2505便
せっかく窓側の席に座ったにも関わらず、どこを飛んでいるのかさっぱり分からず…。ドリンクサービスを受けたり、居眠りをしている間に、あっという間に新千歳空港へ到着。
フェリーならば、20時間かかる北海道だが、空の旅はあっけなく、たったの2時間弱だった…。
かなり涼しいかなと思った北海道は、天気が良いせいかそれほど涼しくなくて、ちょっとガッカリ。
ちょうどお昼どきだったので、お店探し。レストラン街を見てみるが、さすが空港だけあって、どの店もちょっと値段がお高め。せっかく北海道に来たのだから、太っ腹で食べたいところだが、8日間も続く旅の初日から散財するわけにもいかない。
空港のグルメマップで見つけたお手軽なお店「モスバーガー」。ターミナルビル1Fの隅っこの方に、ちょこっと構えるお店だ。僕は期間限定のホットチキンバーガーセット、奥さんはコロッケバーガー。
ハンバーガーを頬張りながら、いまさらながらに今日の計画会議。今回の旅はある程度のアウトラインは計画してきたが、細かい部分は何となく現地で決めてしまえ!なスタンス。当初の予定では、雨が降ったら、何かと話題になった石屋製菓が運営する「イシヤファクトリー」のケーキバイキングに行く予定だった。
しかし、今日は気持ちがよすぎるほどのいい天気。こうなれば、屋外、それも景色のいいところを目指すべきという方針の下、決定した目的地は「地球岬」。
時刻表を繰っていると、時間がないことが発覚。ハンバーガーを口に押し込み、階下にある新千歳空港駅のホームへ向かった。
ちなみに、期間限定のホットチキンバーガーはおいしいけど、もう一度食べるかというと、微妙な味だった。
新千歳空港(13:34)→南千歳(13:37) 【快速】エアポート135号
南千歳(13:45)→東室蘭(14:35) 【特急】北斗14号
東室蘭(14:53)→母恋(15:03) 【普通】
母恋→地球岬 【徒歩】
新千歳空港駅の改札口で「北海道フリーパス」を自動改札口に通す。今日から7日間の旅のパートナー。失くしてしまうと大変なので、大事に定期入れに収める。
今回の旅の一番列車は、新千歳空港13:34発の「快速 エアポート135号」。一つ隣の南千歳を目指す。
南千歳駅
南千歳からは、13:45発の「特急 北斗14号」に乗り換えとなる。フリーパスでは6回分のグリーン車(またはB寝台車)しか乗車できないので、初日は自由席の列に並ぶ。日照りが厳しい南千歳駅のホーム。大阪のように、日照りはジリジリしているものの、やはり湿度が低い上に風が冷たい。さすがは北海道。無事に席にありつけ、東室蘭を目指す。(東室蘭 14:35着)
東室蘭に停車する特急「北斗14号」
東室蘭から枝線のローカル列車に乗り換え、地球岬の最寄り駅である「母恋」を目指す。2両編成ののどかなワンマンカーは、大阪の喧騒がウソのように思える。
2両編成のワンマンカー
降り立った「母恋駅」は哀愁漂う駅だった。地球岬の最寄り駅といえど、地球岬までは2.7キロある。途中の地球岬団地まではバスもあるが、バスに乗っても結局は15分ほど歩く必要がある。それならばということで、今回は駅から歩いて地球岬を目指すことにした。
哀愁漂う「母恋駅」
地球岬まで2.7キロの看板
歩きはじめてしばらくは奥さんの足取りも軽かった。舗装されたアスファルトの道とはいえ、進むにつれて、勾配が強くなってくる。さらに、荷物をコインロッカーに預けてこなかったので、8日分の荷物が肩に食い込む。加えて、北海道とは思えない日照りで体中から汗が吹き出てくる。旅の始まりから奥さんはバテバテモードで死に掛け…
地球岬へ続く坂道
坂道をがんばって登りきると、目の前には真っ青な海が広がっていた。まるで坂道をがんばって登ってきたご褒美のようだ。
目の前に広がる真っ青な海
炎天下の中、住宅街を歩いていると、まるで大阪にいるのではないかと思うほどだったが、目の前に開けている海はまさしく北海道の海。本州にはない澄んだ海の色、そして冷たい風がなによりも証拠だ。
真っ青な海を眺めていると、せかせかとした都会の喧騒をすっかりと忘れ、心身が緊張から解きほぐされ、開放されていくような気がした。
残念ながら、ここは目的地ではなく、地球岬まではあと一息。。「金屏風岩」と呼ばれ、岩肌に夕日が照らされると、金屏風のように見えることから名づけられた名所だ。
金屏風
夕日が当たると金屏風に見えるのが由来だとか…
そして、あと一息登りきり、ようやく地球岬へ到着。周りをどう見回しても、歩いてやってきたのは僕たち夫婦だけだった…。
眺めのよい道!
本州ではもう季節外れなあじさい
ようやく、地球岬に到着
ガイドブックによれば、「地球が丸く見える地球岬」というキャッチフレーズ。確かに眺めはよいのだが、正直なところ、地球は丸くなかった…。
子供は正直だ。お父さんに連れられてやってきた男の子が曰く、「地球は丸くみえないよ…」。まさしく、そのとおり。
次から次へと観光バスやマイカーでやってきた観光客を見送りながら、まったりと海を眺める。
例年ならばフェリーでやってくる北海道。フェリーでゆっくりと北上する過程で、北海道旅行へのワクワク感を掻き立て、少しずつ旅の世界へ踏み込んで行く。しかし、飛行機は瞬間移動で北海道へ到着してしまう。そうなると、空間的な移動に対して頭の理解が追いつかず、なかなか旅の世界にどっぷり浸かれないのだ。
しかし、この海が間違いなく、旅の世界へと導いてくれた。
ガイドブックでもおなじみのショット
よくわからないモニュメント「幸福の鐘」
遠くにはうっすらと駒ケ岳が見える
地球岬→母恋 【徒歩】
母恋(17:09)→東室蘭(17:19) 【普通】
東室蘭(17:36)→札幌(18:59) 【特急】北斗15号
海の眺めに、トイレ、そして数件のおみやげ物屋さんだけの地球岬。1時間弱滞在した後、再び母恋駅へ歩いて戻る。行きとは違って、下っていくだけなので、かなりラクだった。
これから目指す地は、札幌。やはり北海道旅行といえば、札幌からスタートだ。地球岬はコースでいえば前菜、いよいよメインの旅のはじまりだ。
東室蘭までローカル列車にのり、東室蘭で特急「北斗15号」に乗り換え、札幌へ。自由席だったが、幸い席に座ることができた。(札幌 18:59着)
やってきました「札幌駅」
19時を過ぎて、ちょうど夕飯どき。北海道名物を食べようということで、少し前に札幌でブームとなった「スープカレー」で奥さんと意見が一致。
大きな荷物を持っているので、ウロウロするのはしんどい。ということで、札幌駅前にある「エスタ」の飲食店街にある「リトルスプーン」を目指す。
しかし…、「リトルスプーン」のメニューにスープカレーがなかった…。以前食べたことがあったのだが、期間限定メニューだったのだろうか…?
しかたなく、札幌駅周辺のグルメマップから探してきたのが、駅ビル「ステラプレイス」の中にある「カレー研究所」。注文したのは、シーフードスープカレー(980円)。ご飯は2種類から選択することができ、僕は白米、奥さんは七穀米。土鍋で出てくる海鮮と野菜たっぷりのシーフードカレーは、とっても美味。以前食べた「リトルスプーン」よりはるかにおいしかった!
ちなみに、北海道ならではのお店と思って入った「カレー研究所」。悲しいことに、新大阪にも支店があるのだとか…。しかし、看板が本当ならば、スープカレーは北海道限定だとか…。
「カレー研究所」の「シーフードスープカレー」(980円)
札幌→桑園 【普通】
桑園→札幌 【普通】
札幌(23:08)→釧路(翌朝5:50) 【特急】まりも
今宵の宿は、「寝台特急 まりも」。
ケチケチ旅行を実践するため、宿は夜行列車だ。とはいえど、「北海道フリーパス(グリーン車用)」を使い、B寝台を予約済みなので、横になって寝ることができる。
実はケチケチ旅行を実践するだけが夜行列車を宿とする目的ではない。時間があまり余った学生ではなく、残念ながら休みの少ない(といっても、9連休だが…)サラリーマン。時間を有効に活用して観光するには、やはり夜行列車は大活躍するのだ。また、ホテルや旅館で宿を決めてしまうと、なかなか変更もしづらく、仮に次の目的地の天気が悪くても、その地へ向かわざるを得ない。
一方、夜行列車ならば、臨機応変に対応できるため、明日の天気予報を見つつ、予定をコロコロ変更できたりするのだ。
そんな便利な夜行列車「まりも」だが、残念なことに、今年2008年8月31日がラストランとなり、廃止されてしまう。そのせいか、今年はB寝台の席が埋まっている傾向があり、去年や一昨年ほどガラガラではないようだ。ちなみに、昨年や一昨年は1両に僕たち夫婦だけとか、多くても10人程度のような悲惨な乗車率の日もあった。
夜行列車に乗るとなれば、銭湯探し。北海道旅行ではすっかり常連となってしまった、桑園にある「北のたまゆら」へ。札幌駅から普通列車でたったの1駅。さらに、駅前。料金は、シャンプーや石鹸は付いていないものの、390円と格安。いわゆるスーパー銭湯だ。カギ付ロッカーも完備、サウナや露天風呂もあり、清潔感もある。風呂上りにはゆったりと休める軽食スペースもある。
風呂から上がり、長風呂の奥さんを待つ間、ガイドブックを見ながら、冷え冷えグラスに注がれたレモンチューハイをゴクリ。サイコー♪
桑園駅前 徒歩3分の「北のたまゆら」
長風呂の奥さんが出てきたので、再び普通電車で札幌駅に戻る。
そして、札幌23:08発 寝台特急「まりも」に乗車。自由席と指定席はガラガラだけど、B寝台はあいにく満席のようで、夫婦二人ともに上段ベッド。
これが見れるのも今年の8月いっぱい
壊れかけのオルゴールではじまるアナウンスの後、疲れていたので早々と眠りについた。明日は、北海道で一番大好きな道東だ・・・