今年もやってきたゴールデンウィーク。ゴールデンウィークの旅行はいつも悩みどころ。どこに行っても、混んでいるし、ツアーの料金はかなり割高。そうなれば、やっぱり個人旅行。しかし、貧乏人の頼みの綱である「青春18きっぷ」も発売期間外。フェリーも原油高の影響で何かと高くなっている。
例年は奥さんの誕生月であることを利用して、JR四国の「バースディきっぷ」で四国4県を駆け巡っているのだが、もう行き先のネタも尽きてきた。そこで、目を付けたのは、伊勢・志摩・鳥羽スーパーパスポート「まわりゃんせ」(大人9500円)。
このパスポートは、とにかくすごい。ベースとして、近鉄の任意駅〜伊勢志摩地域までの近鉄特急(指定席)が往復利用できる。発着駅は近鉄の駅であれば、どこでもよく、発着駅が異なっても構わない。大阪なんばから利用すれば、これだけでも往復6000円相当だ。
これに加えて、伊勢志摩エリアの近鉄特急(指定席)・バス・船が乗り放題。さらに、30もの観光施設が入場・入館できる。志摩スペイン村、鳥羽水族館、伊勢・安土桃山文化村をはしごするだけでも、1万円を超えてしまう。これだけでも十分なのに、さらに志摩スペイン村に入場すれば、お食事券1000円分が特典として付いてくる。
こんなスーパーパスポートなのに、ゴールデンウィークも利用OK。迷いも無く、近くのKNTツーリスト(近畿日本ツーリスト系列)へ予約にいく。私鉄の乗車券だったので、旅行取扱手数料を取られるかなと思ったけど、無手数料だった。最近は、フェリーや高速バスでも手数料を徴収するところが増えている。今回は近鉄系の旅行会社たからなのか、それとも、JTBや日本旅行でも取られなかったのか、そのあたりはナゾ。
そして、旅行当日を迎えた。
今回の旅のスタート地点は、鶴橋だ。往路は鶴橋から乗車し、復路は京都に到着する、近鉄特急の指定席は、「まわりゃんせ」購入時に予約しておいた。もちろん、これも「まわりゃんせ」に含まれている。
往路を鶴橋にしたのは、理由がある。ちょっと立地な気分を味わえる「伊勢志摩ライナー」で伊勢志摩を目指すためだ。大阪から伊勢志摩方面へは、かなりの頻度で特急が出ているが、そのうちの数本は、リゾート車両「伊勢志摩ライナー」で運転される。この車両のサロンシートはオススメ。サロンシートには、2人席と4人席があり、人数さえそろえば、「まわりゃんせ」でも乗車できる。
大阪環状線も通っている「鶴橋」。関西圏に住んでいながら、実は今までほとんど訪れたことがない。
JR鶴橋駅の改札口を出て、近鉄の乗換口を探していたが、いつの間にか商店街へ迷い込んでしまった。朝が早いせいか、店は閉まっており、狭く薄暗い商店街からはキムチのにおいが…。そして、聞きなれない異国の言葉が…。まさしく、雰囲気はコリアンタウン。韓国の街中にある路地裏に迷い込んだみたい(行ったことはないけと…)。
ディープな大阪の初体験だった!
鶴橋(9:28)→賢島(11:41) 【特急】伊勢志摩ライナー(サロンシート)
ようやく見つけた、近鉄の改札口。窓口で旅行会社のクーポンを提示して、「まわりゃんせ」を受け取る。ちなみに、旅行会社でもらえるのはクーポンのみで、現物の「まわりゃんせ」は駅で引き換えだ。なんだか薄暗い改札口。大阪ではなく、韓国の下町へやってきたような気分で、ちょっとワクワクする。今度昼間に焼肉でも食べにこようかな…。
ホームに上がると、パッと見ただけでも、「まわりゃんせ」を片手に持つ旅行客がたくさん目に留まる。鶴橋9:28発の伊勢志摩ライナーは定刻に発車。
広い窓のツインシート。仕切りこそないが、大きなテーブルを挟んで広い座席が配置され、ちょっとしたプライベート感がある。日よけのカーテンは電動スイッチで上げ下げできる。広々としたシートでグッスリと睡眠タイム。気が付けば、電車はどんどん進み、宇治山田に停車していた。
そして、鳥羽に11:41到着。
日よけのカーテンは電動スイッチで上げ下げ
広々とした座席
黄色い車体の伊勢志摩ライナー
ちょうどお昼どきなので、昼食スポット探し。駅前にある土産物屋や食堂が入るビルへ行ってみるが、ちょっとお値段が高め。旅のはじめから散在するわけにもいかないので、駅の中にあるセルフのフードコートで「伊勢うどん」(450円)。
伊勢うどんは、おもちのようなもちもちとした食感が特徴の郷土料理。独特の甘いしょうゆをかけて食べる。ちなみに、お味は以前おかげ横丁で食べた伊勢うどんと比べると、いまいちだったかな…。
「伊勢うどん」(450円)
30施設に入れてしまう、スーパーパスポート「まわりゃんせ」。これがあると、お金のことを気にせずに、入場して色々なものを見たり、楽しんだりできる。
そのパスポートが活躍するトップバッターの観光施設は、「ミキモト真珠島」(入島料1500円)。真珠で有名な「ミキモト」。その真珠をテーマにした、ミニテーマパークだ。
駅から徒歩5分。真珠島へは、パールブリッジと呼ばれる橋で渡る。
「ミキモト真珠島」の入り口
パールブリッジを渡って真珠島へ
まずは、海女さんが実演する「海女スタンド」へ。3人の海女さんが船がやってきて、実演してくれるショー。
海女スタンド
海女さんが乗った船が登場
ちょっと寒そう…
次は真珠博物館へ。ここでは、真珠のできる仕組みなどを勉強できるのだ。天然真珠と養殖真珠の見分け方、色の付きかたなど、「へぇ〜」と思ってしまうものも多い。この博物館の1Fには、真珠ショップもあるのだが、引き寄せられる奥さんの首根っこをつかんで、早々退散(^_^)
最後は、真珠の養殖を開発した御木本幸吉に関する展示資料を並べた「御木本幸吉資料館」。昔、偉人シリーズの本で読んだ御木本幸吉。それだけに、つい見入ってしまった。
「御木本幸吉資料館」
中之郷港(14:20)→桃取港(14:57) 【船】鳥羽市営船
今夜の宿は、鳥羽から船で15〜30分ほどの答志島にある民宿旅館「あみりき」。当初は、鳥羽にあるビジネスホテルに泊まるつもりだった。しかし、宿泊予約サイト「じゃらん」で宿泊検索した時に、価格が安い順ソートして、一番上に出てきたのが、民宿旅館「あみりき」。1泊2食付6500円という格安価格に加えて、小さな島というのに心ひかれて、一か八かで予約してみた。民宿は当たり外れがあるので、なかなか選択が難しいのだ。
その答志島へ向かうべく、ミキモト真珠島から鳥羽水族館の方へ歩き、10分ほどで中之郷の船着場に到着。ここから鳥羽市営船に乗って、答志島を目指す。ちなみに、答志島はそこそこ大きな島で、桃取と和具の2つの港を持つが、今回目指すのは桃取。中之郷14:20発の桃取行定期船に乗船する。
ちなみに、鳥羽市営定期船も「まわりゃんせ」の提示で乗船できる。
中之郷の船着き場
定期船はかなり小型だ!
そして、答志島桃取港に到着。
答志島の第一印象は、特徴のない島。沖縄の島でもなく、北海道のような島でもない。「色がない島」、一言でいえば、そんな感じ。確かに、大阪から程遠くない鳥羽の海なので、北海道や沖縄のように浮世離れした景色は望めないのも納得できる。
桃取港
携帯電話から宿に電話をして、迎えをお願いする。程なく、1台のワゴン車がやってくる。迎えに来てくれたのは、宿のご主人と思われるおじさん。3分ほどで「あみりき」に到着する。
宿に入ると、宿泊予約サイトなどの口コミでも評判だった、とっても感じのよいおばちゃんに迎えられる。案内されたのは、海に面する眺めのよい和室。天気がどんよりしているのが、ちょっと残念。晴れていたら、もっと良かっただろうに…。
民宿旅館「あみりき」
波の音がかすかに聞こえ、それ以外にはほとんど音がない離島の宿。宿のおばちゃんが言うように、本当に何もない島なので、ぼっーとするには最高の島だ。
民宿というのは、概して設備に期待をするものではなく、料理に期待するもの。この宿の設備には期待はしていなかったが、これまたなかなか面白い。
まずは、冷蔵庫。なんだかとっても年代を感じさせる。そして、テレビ。これがまた面白い。電源を付けると、なぜか砂嵐…。壊れているのかなと、古典的修理方法ということで、一発叩いてみる。そうすると、くっきりキレイに映るのだ。最後に、部屋のカギ。廊下とはふすま一枚と隔てられている。部屋の外からはカギはかけられない。内側からはというと、どうもカギが壊れているらしく、一本の棒を渡される。どうやら、これを鍵穴に突き刺せば、ドアが一応は開かないということだ(^_^)
年代を感じさせる冷蔵庫と叩くと直るテレビ
タオルと浴衣は付いていた(バスタオルはない)
宿のおばちゃんに渡された地図を片手に、島あるきを楽しむことにする。和具の方へ向かって、山歩きをしたいところだが、雲行きがあやしいので、桃取港方面へ向かって、歩く。
歩いていると、そこそこ人には出会うのだが、会う人はお年寄りばかり…。高齢化が進んでいるのだろうか?
沖縄のような南の島だと、すれ違うと挨拶をしてくれたり、しゃべりかけられたりするものだが、この島は都会(といっても、鳥羽だけど…)から近い島のせいか、都会のように無関心な感じ。ある意味、いまどきの社会で考えると、南の島が異常で、これが普通なのだろう。
宿の前の一本道
答志島の案内地図
10分ほどで先ほど降り立った桃取港へ到着。船がやってくると、一時的ににぎわう。しかし、人々は方々へ散っていき、また静まり返るのだ。
幼稚園・小学校・農協などがあるが、コンビニなんてものはない。いわゆる何でも屋さんが一軒だけあったので、夜ご飯の後に食べるおやつを調達。でも、おやつの種類はかなり少なかった。
港の堤防に座って、ちょっとのんびりタイム。しかし、雨が降り出してきたので、急いで宿に戻った。天気が良かったら、もっとよかったのになぁ〜。
小さな島々が多い
宿に戻った後、お風呂タイム。他のお客さんはまだチェックインしてなかったので、貸切状態。大きさは民宿だけあって、家のお風呂よりもちょっと大きい程度。洗い場も2つぐらいしか無かった。
宿泊予約サイトの口コミでも評判だった夕食。食堂ではなく、部屋食対応だ。飲み物は冷蔵庫から好きに出して飲むスタイル。350mlで500円というちょっと高めの地ビールを1本飲む。
メニューは、すべて魚介類。肉は一切ない。ご飯・めかぶ・鯛と貝の刺身・あさりの陶板焼き・海老や筍の天ぷら・煮付け・じゃがいもと貝のみそグラタン・味噌汁。どれもこれも近くの海で捕れたものらしく、新鮮でとってもおいしい。あさりは、焼かれる直前まで動いていた。
総括すると、味は評判どおりかなりおいしい。量は口コミなどで期待しすぎたせいか、値段を考えると、十分な量だったけど、もうちょっと欲しかったところかな。しかし、総合評価すると、good!
食べ終わった後は、廊下に配膳を出しておくスタイルだった。いつも思うのだけど、やっぱり部屋食は落ち着かないなぁ〜。「部屋=自分のテリトリー」という印象があるのか、プライベート区間に入られる感じがして、ちょっと落ち着かない。むしろ、大きなレストランや食堂で食べている方が落ち着くというか…。歳を取ったら変わるのかもしれないけど、ツアーのパンフとかで部屋食をアピールしていたり、部屋食だと値段がアップするのに少し違和感を感じてしまう。
刺身の貝がとってもおいしい!
アツアツの天ぷらと煮付け
静かで、そして何もすることのない宿。潰れかけのテレビでドラマをみた後、早めに眠りについた。