秋晴れが続く今日このごろ。例年であれば、気候もよいので、あちこちにお出かけする季節だ。
しかし、今年はそうはいかない。来月には臨月を迎える奥さん。さすがに、宿泊旅行をするのは怖くなってきた。とはいえ、ずっと家に閉じこもっていても、気が滅入ってくる。
そんな想いで悶々としていた、とある木曜日の会社帰り。駅のパンフレットに目がいく。目についた文字は、「新大阪⇔岡山 往復7000円」。「こだま指定席往復きっぷ」という、いわゆるトクトクきっぷ。利用できる列車に制限はあるが、通常よりも約5000円近く安くなり、かなりオトク。おまけに、前日まで購入可能だ。
妊娠してから、ますますフルーツ好きになった奥さん。岡山といえば、フルーツ王国。そんなわけで、「日帰りでフルーツパフェを食べに行こう!」をテーマに、プチ旅に出ることにした。
新大阪(9:38)→岡山(11:00) 【新幹線】こだま737号
新大阪7時台の新幹線で出発したかったが、やはり直前だけあって、満席で確保できず…。ちなみに、JRサイバーステーションで空席照会をすると、空席はあるのだが、この格安きっぷは枚数限定で別枠として発売されているため、予約できない。
仕方なく選んだ列車は、新大阪9:38発の「こだま737号」。朝一で出発できなかったのは残念だが、妊婦同伴なので、これぐらいゆったりした出発でよかったかもしれない。
新大阪駅改札口
新大阪9:38発の「こだま737号」で岡山へ向かう
車両は700系のひかりレールスター
座席は、2列+2列で広々しており、すこぶる快適。山陽新幹線はドル箱路線の東海道新幹線と違い、サービスがよい。東海道新幹線でいえば、グリーン車なみの座席に、山陽新幹線ならば、普通席で座れるのだ。僕たちの乗った車両は、いわゆる特殊運賃で乗車している人ばかりのようで、僕たちと同じようなキップを使っているか、団体ツアー客だ。
青春18きっぷの鈍行旅と違い、新幹線の旅はすこぶる快適。ただ、のぞみが45分ほどで駆け抜ける新大阪〜岡山間を、こだまは追い越し待ちを入れつつ、約2倍の1時間半で結ぶ。でも、急ぐ旅でないので、これで十分だ。
あっという間に、快適な列車の旅は終わり、岡山へ11時ちょうどに到着。
岡山駅に到着
まずは、事前リサーチの情報に従い、東口の地下にある観光案内所「ももたろう観光センター」へ。ここで、市内の観光パンフレットを調達する。
そして、もう一つの目的が「ももたろう観光センター」の前にある「ももたろう茶屋」。毎週土曜日に、岡山名物「きびだんご」とお茶が無料で振る舞われているのだ。茶席に座り、しばしほっこり♪
「ももたろう茶屋」の入り口
無料のきびだんご&お茶サービス
きびだんごで少しは腹の足しになったものが、お腹がだいぶん減ってきた。今回はあまりアクティプに動けないので、グルメで満足したいところ。観光案内所でもらったパンフでリサーチしたところによると、岡山のご当地B級グルメに「デミカツ丼」なるのがあるらしい。
地図を眺め、駅から近そうな「味司 野村」へ行ってみることにする。地図があまりにもざっくりしているのと、店が少し路地を入ったところにあるので、少々迷いつつ、「味司 野村」へ到着する。駅から歩いても10分もかからない。
デミカツ丼の「味司 野村」
お会計は、店の入口の券売機で購入するスタイル。券売機のボタンには、「ロースカツ丼」とか「ヒレカツ丼」という文字しかないので、普通の玉子でとじたカツ丼と思いきや、基本がデミカツ丼なのだ。僕はあっさりがいいので「ヒレカツ丼」(850円)、奥さんはこってり好きなので「ロースカツ丼」(750円)にする。
店内はあまり混雑しておらず、2人席に案内される。しかし、僕たちが入った直後から、次々とお客さんがやってきて、ほぼ満席状態。となりのテーブルは合い席、入り口には待ち客も数人。店に入ってからスマホで調べて分かったのだが、この店はデミカツ丼の発祥の店で、いわゆるご当地グルメの有名店なのだ。
いよいよやってきた、デミカツ丼。発祥の店とあり、かなり期待が膨らむ。ご飯の上に、ゆでキャベツが敷かれ、その上にカツ。そして、ドロっとしたソースがたっぷりかかる。
「ロースカツ丼」(750円)
さて、感想はといえば・・・。僕は「う〜ん・・・」だった。カツはとってもいい感じで揚がっていて、キャベツもおいしい。しかし、ソースが好みに合わなかった。かなり濃厚なソースで、簡単にいえば、2日目のシチューの鍋のフチについた、干上がった部分がかかっているという感じ。あくまで好みだが、個人的には敦賀のソースかつ丼のような、さっぱりソース系がいい。ちなみに、奥さんは好みにあっており、満足したようだった。
店を出て、路面電車が走る通りに沿って、後楽園を目指す。駅からゆっくり歩いても20分程度。奥さんも出産に向けた体力づくりということで、多少の運動は心がけているのだ。
旭川が見えてくると、岡山城も見えてくる。天気もよく、風も心地よい。まさに、秋晴れだ。
旭川のそばにそびえる「岡山城」
旭川に架かる橋を渡ると、後楽園だ。後楽園は、偕楽園や兼六園と並ぶ、日本三名園の一つ。通常ならば、岡山城とのセット券が販売されているようだが、現在岡山城では特別展が開催されているとかで、セット券は販売中止。そんなわけで、入園料400円を支払い、中に入る。
管理が行き届いた園内は、とってもキレイで快適。秋のお散歩には、もってこいのスポット。青い空と緑の芝生のコントラストがとってもいい。ベンチに座って、しばしほっこり♪
青い空と緑の芝生
結婚式を挙げることもできる
やっぱり日本人!とっても落ち着く光景だ♪
後楽園を満喫した後は、すぐ隣にある岡山城へ。僕が後楽園を訪れるのは二度目。確かな記憶はないが、おそらく高校か大学時代の年末のある日。後楽園には入ることができたが、岡山城は年末年始休みで入ることができなかった。つまり、十数年来の念願の岡山城登頂というわけだ。
石段をヒィーヒィー言いながら登り、城の入り口にたどりつく。
黒基調の岡山城
秋季特別展「江戸の遊び心」が開催されているため、入城料はちょっと高めの800円。江戸の城というモノは非常に近代的なモノで、なんと4階までは一気にエレベーターで登れる(^_^)。
大阪城もそうだが、城の中にエレベーターがあると、ちょっと興ざめしてしまう。やっぱり、昔ながらのそのままの城が面白い。ちなみに、昔は国宝四城(姫路・彦根・犬山・松本)がその代表格として取り上げられてきたが、最近では「現存天守12城」という言葉の方が耳にすることが多い気がする。
急な階段を登り、いよいよ天守へ。岡山の街なみだけでなく、後楽園も上から眺めることができる。
お城の定番、金のしゃちほこ
後楽園も上から眺めることができる
天守から階段を下りながら、展示を見ていく。今回の一押しは、特別展「江戸の遊び心」。簡単にいってしまえば、江戸時代のおもちゃが一同に集められている。
ガラス棚の中に展示されている、江戸時代の絵やおもちゃを眺めるだけなので、「ふ〜ん」としか言えず、ちょっと退屈な感じ。ところが・・・、展示室の一角でからくり人形の動作実演が行われており、お客さんが集まっているので、僕たちも混ざる。
なんとも不気味な人形が湯呑を運んできてくれる。そして、飛び入りゲスト参加したお客さんが湯呑を受け取り、人形のお盆に返してあげると、180度向きを変えて、元の場所へもどっていく。現在の技術ならまだしも、江戸時代にもこんな高度な技術があったのだと思うと、なかなか感心。
江戸時代の人形は、どれもなぜか顔が不気味!
後楽園と岡山城をたっぷり堪能したので、いよいよ今回の旅のメインデッシュ「フルーツパフェ」の堪能だ。岡山は果物の栽培が盛んなようで、フルーツ王国をうたっている。それを物語るかのように、観光案内所には「フルーツパフェの街 おかやま」というパンフレットが設置されている。
今回はいくつもある店の中から、市内中心街にあるデパート「天満屋」からほど近い「カフェ・ド・ブレル クレド店」へ。パンレットに掲載されていた「フレッシュフルーツパフェ」に惹かれたからだ。
クレドという商業ビルの6階にある
店に入り、メニューを見るやいなや、気になったのは「フルーツパンケーキ」。隣のテーブルのお客さんが食べていたパフェは、それほど大きくなかった。折しもパンケーキブームの昨今、パフェよりも、フルーツと生クリームいっぱいのパンケーキが魅力的に見える。そんなわけで、当初の旅の目的を思いっきり曲げてしまい、「フルーツパンケーキ(ドリンク付き)」(1130円)を注文。
僕はアイスコーヒー、奥さんはグレープフルーツジュース。妊娠中でカフェイン自粛中の奥さんは、ちょっと恨めしそう。その代わりに、レディースデーということで、奥さんには小さなチョコカステラがサービスされる。でも、よく考えたら、チョコにもカフェインが入っているような・・・。
レディースデー特典のプチデザート
しばらく待って、運ばれてきたパンケーキ。パッとみて、「なんじゃこりゃ!?」と口にしてしまう。上にベタっーと乗せられた生クリームはドロドロで、なんとも見た目がキレイでない。
しかし・・・、一口食べてみると、とっても美味。生クリームは良質なモノなのか、すごく口あたりがいい。それもそのはず、どうやらこの店はパティシェがいるケーキ屋さんでもあるのだ。特定日限定のようだが、ケーキバイキングも開催しているようだ。
フルーツパンケーキということだけあり、ホントにフルーツだらけ。バナナ・グレープフルーツ・ぶどう・キューイ・パイナップル・オレンジ・ブルーベリーなど、さすがはフルーツの国「おかやま」を納得させられる。
あえて苦言を呈するとすれば、生クリームは別添にして、食べる直前にお客さんがデコするスタイルにすれば、見た目もキレイだろう。
フルーツてんこもりの「フルーツパンケーキ」
店内はとてもゆったりしていて、パンケーキでお腹を満たした後は、ほっこりと休憩タイム。もう少し早い時期であれば、白桃パフェが楽しめたらしく、ちょっと残念だ。
パンケーキを堪能した後は、商店街でモモのジャムを買ったりしながら、街歩き。帰りの新幹線は19:42発。夕食になりそうなものを物色しながら、ブラブラと駅まで歩いて向かう。
岡山駅前にある高島屋のデパ地下へ行き、新幹線の中で食べれそうなお弁当を探してみるが、なんだかピンと来るものが見つからない。最近、デパ地下だけでなく、飲食店街を見ても思うのだが、大阪でも、東京でも、地方都市でも、同じチェーン店ばかりで、その地域ならではの店が埋没しているように思える。
大阪へ戻ってから食べてもいいかなと、半分諦めていたところ、「北海道物産展」の文字が・・・。その言葉に惹かれ、催事場へ。そして、閉店5分前の18:55、なんと掘り出しモノを発見。見切り品なのか、「カニとイクラの弁当」(1890円)と「カニとイクラとウニの弁当」(2310円)が、ナント1050円。店のおばさんに「ラッキーだったね・・・」と言われ、大満足で駅へ戻る。
再び、岡山駅へ戻る
岡山(19:42)→新大阪(21:04) 【新幹線】こだま752号
帰りの新幹線は、岡山19:42発の「こだま752号」。行きと同じく、車両は500系ひかりレールスターで、2+2列ゆったりシートだ。
そのゆったりとしたシートに身を委ね、お弁当を広げる。ちなみに、そのお弁当は北海道旅行でおなじみ、釧路の和商市場「嶋田商店」のモノ。ウニはいまいちだったが、いくらとカニはとっても美味。
そんなわけで、フルーツパフェが目的ではじまった旅は、フルーツパンケーキになり、さらに和商市場のお弁当で幕を閉じた。
釧路和商市場「嶋田商店」のお弁当
「カニとイクラの弁当」(1890円→1050円)
「カニとイクラとウニの弁当」(2310円→1050円)
前回の静岡旅行でシメと思いきや、はたまた日帰りですが、岡山まで旅に出てしまいました。
まもなく臨月ということで、僕たちの旅にしては珍しく、ちょっと遠出の日帰り旅行。臨月を迎えていないものの、何かトラブルが起こると大変だなと心配しながらの旅でしたが、特に問題なく帰ってくることができました。
ちなみに、臨月前の旅行について、ネットで調べていると、「全然大丈夫ですよ!」とか「もし何かあったら自己責任」など、いろいろな意見がありましたが、なかなか難しいところです。おそらく、個々の事情によって違うのでしょうが・・・。
そして、この旅から約1カ月後、10月下旬の早朝、元気な女の子が無事生まれました。当初の予定どおり、この岡山旅行がまさしく、夫婦二人の最後の遠出旅行となりました。(この後、近場では嵯峨野トロッコと嵐山に出かけましたが・・・)
5月の高知旅行記のエピローグにも書きましたが、学生時代が旅の第一章とするならば、社会人になり奥さんと出会った後の夫婦二人旅が第二章。そして、娘の誕生で第二章の終わりを迎えることになりました。
ここからは、家族三人での旅を作っていくわけですが、首が座らない子をひっぱり回すわけにはいかないので、第三章のはじまりまでは、しばし一休みとなりそうです。色々と考えてみましたが、第三章の終わりはきっと定年でしょうか・・・?
長い長い第三章の旅がはじまりましたら、この旅日記にまた追加していきたいと思います。それまでは、今まで記しきれてなかった旅を引き続き追加していきたいと思います。
2013年11月17日 記す
(終わり)